本題に入ることに ページ3
判らないとおかしという顔で授業を進める教師と、判らないのはおかしいんだという態度で授業を受ける生徒。
此処には、完全な主従関係が生まれていた。
多分、教師が「右を向け。右が正しいんだ」と云えば、生徒は全員右を向く。
非道くつまらない連中だ。
「じゃあ此処を……篠原さん、どうだい?」
『はい』
数学の時間である。
教師は、お前に解けるのかという莫迦にした卑劣な笑みで、黒板に書いてある問題を解くように指示した。太宰さん風に云えば、教師失格だな、こいつ。
私はツカツカと前に歩みで、白いチョークを手に取った。
そして、静かに問題を解いていく。
『どうですか?』
「……正解だ。」
何も指摘するところの無い完璧な解答に、教師は苦虫を噛み潰したような顔をする。
生徒の前であからさまにこんな顔するとか、何なの。
私が席に戻ると、教師は何もなかったかのような様子で授業を再開した。
教室の中には、授業を進める教師の声と、生徒が必死に
「ねー、篠原さん。お昼どうするの?」
昼休憩。
声をかけてきたのは、派手目の子達3人。
だが、渡辺先生の云い付けを守る辺り真面目な子なのだと思う。
『え、っと、お弁当持ってきてる。』
「じゃ、一緒に食べない? 篠原さんと話してみたいし。」
『迷惑じゃなければ。』
私がこう答えると、リーダー格の子がキョトンという顔をした。そして、
「私等から声かけてんのに、迷惑な訳ないじゃん!」
「そうだよー! 篠原さんって面白いね!」
何故かケラケラと腹を抱えて笑い始めた。
『え、あ、そうだよね。』
「そうだよ! 篠原さん気難しい人かと思ってたけど、全然そんなこと無かった! ね、Aって呼んでもいい?」
……私も、貴女達は怖いのかと思ってたよ。
まあ、人間は見掛けによらないって云うしなあ。
『勿論! よろしくね。』
という訳で、国木田ママ。
私、ちゃんとお友達出来たっぽいです。
(国木田さんが1番心配してくれてたもんなー……)
「わ、Aのお弁当美味しそう!」
『そうかなぁ。』
「誰が作ってんの? お母さん?」
『ううん、自分で作ってるよ。』
「え、まじ!? 女子力……っ!」
はい、本当に気さくな人たちで良かった。
色々と話しやすそうだし。
私は、遂に本題に入ることにした。
『ねえ、この学校で、たて続けにジサツ者が出てるって聞いたんだけど……本当なの?』
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こおりざとう(プロフ) - れたすさん» コメントありがとうございます! ここから少しずつ、事件と篠原ちゃんの過去が明らかになっていきます。お楽しみに! (2017年4月11日 17時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
れたす(プロフ) - 最後のせりふっ!続きが気になる途切れ方……更新まってます! (2017年3月26日 22時) (レス) id: c8875f112f (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 狂夜月さん» コメントありがとうございます! もう少し更新ペースを上げられるよう頑張りますね! (2017年2月26日 23時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
狂夜月(プロフ) - 面白いです!がんばってきださい! (2017年2月24日 21時) (レス) id: 0f9e6c0dce (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - みるふぃーゆ@怠惰Girl&Boyさん» コメントありがとうございます! 色々と想像しながら読んでみてください(笑) 更新頑張ります (2017年1月31日 19時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こおりざとう | 作成日時:2017年1月20日 23時