渡辺先生 ページ2
担任は、笑顔の可愛らしい女性の先生だった。
「安心してね。うちのクラスは、優しい子ばかりよ。」
『それは楽しみです。
担任の渡辺さんと教室まで向かう。
進学校と聞いていたからもっと厳しそうな教師が多いのだと思っていたが、思いの外そうでも無いらしい。
……渡辺さんが、群を抜いてホワホワしているだけかもしれないが。
「さあ、ここが貴女の通うクラスよ。」
『なんだか……緊張します。』
「大丈夫、安心して。そうだ。ゆっくり深呼吸をしてみると良いわ。」
渡辺さんの云う通り、ゆっくりと深呼吸をする。
深呼吸なんて有りがちな方法のくせに、本当に緊張が解れてきた。凄いな。
「それじゃあ入りましょうか。」
『はい。』
音もなく静かに開く扉。さすが、進学校ともなれば、常に校舎は最新なんだろう。
渡辺さんの隣に並び、教室の中を見渡した。
制服が自由と聞いた時から、あまり校則は厳しくないんだろうなと思っていたが、実際そうらしい。
制服はもちろん、髪型までもが、みな自由である。
ーー頭が良ければ何でもアリってか。
「今日から皆と一緒に勉強していきます。篠原Aさんです。
篠原さん、挨拶を。」
『はい。
皆さん初めまして。先ほど渡辺先生にご紹介して頂きましたが……篠原Aと云います。どうぞ宜しくお願い致します。』
ペコリと頭を下げるなり、一気に拍手に包まれた。
「篠原さんの席は彼処よ。」
『判りました。』
渡辺さんに一礼し、指さされた席に向かう。
途中すれ違う子からは、宜しくねーと声をかけられた。驚いたのは、明らかにギャルと形容するような子が居たこと。
「それじゃ、今日の伝達ね。」
こう云って、渡辺さん……否、渡辺先生は伝達を始めた。
伝達の最後に「篠原さんとの交流は、昼休憩の時にすること」と付け足してくれたことには感謝してる。心から。
さあ、いよいよ授業が始まる。
どうせ依頼に本格的に取り掛かるのは明日からだ。
進学校と謳われるこの学校が、どれ程なのか見物だな……。
先ほど迄の緊張は何処に行ったのだろうか。
私は教室内をグルリと見回し、少しだけ笑った。
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こおりざとう(プロフ) - れたすさん» コメントありがとうございます! ここから少しずつ、事件と篠原ちゃんの過去が明らかになっていきます。お楽しみに! (2017年4月11日 17時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
れたす(プロフ) - 最後のせりふっ!続きが気になる途切れ方……更新まってます! (2017年3月26日 22時) (レス) id: c8875f112f (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 狂夜月さん» コメントありがとうございます! もう少し更新ペースを上げられるよう頑張りますね! (2017年2月26日 23時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
狂夜月(プロフ) - 面白いです!がんばってきださい! (2017年2月24日 21時) (レス) id: 0f9e6c0dce (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - みるふぃーゆ@怠惰Girl&Boyさん» コメントありがとうございます! 色々と想像しながら読んでみてください(笑) 更新頑張ります (2017年1月31日 19時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こおりざとう | 作成日時:2017年1月20日 23時