【文豪ストレイドッグス】シにたがり少女の生く(いく)末は

箕浦さん ページ19

『だから、予想だって云ってるじゃないですか。』



何かね、先刻の軍警からの尋問なう。

私は素直に答えたのに、あれだけスラスラと答えられるのは可笑しいって聞かないんだよ。




『ちょーっと周りより化学が好きなだけですってば!!』


「本当の事を話して下さい。」


『本当なのに……。』




そろそろ疲れた。潤君、早く迎えに来てくんないかな。




と、その時。私の目の前に救世主(メシア)が現れた。



「……おや、君は？」

「ああ、箕浦さん。この子、現場に居たんですけど、どうも怪しくて……。」


「ほお……君、名前は？」


『……武装探偵社の篠原です。』






よく分かんないけど、潤君が自己紹介する時、必ず『武装探偵社の』って云うから云ってみた。


すると、箕浦さんの眉間に深いシワが刻まれた。

おおう、失敗だったのか……？






『私、犯人なんかじゃ……、』


云ってから気付いた。これじゃあ犯人の言い訳みたいじゃないか。



『あ、や、違っ！ その、私、』

「篠原さん。と、云ったね？」

『はいィィィィ！！』

「ウチの新人が済まなかった。」


ーーもしよければ、君が知っている事を教えてくれないか？



箕浦さんはこう云って、本当に済まなそうに眉を寄せた。

なあんだ。良い人じゃないか箕浦さん！(単純)






「篠原さんは、周りより化学が好きなだけ、と云ったね。」


『はい。』


「実は先程、爆発物の鑑定が終わった。使用していたのは過酸化アセトンだった。」


『おぉー。』


「序に、怪しい男が野次馬に交じっていたそうだ。」


『さすが軍警！ 仕事が早いですねえ。』




私が笑うと、箕浦さんは君のおかげで二次被害が出ずに済んだ。ありがとう。と云って頭を下げた。



『別に、私はなーんにもしてませんよー。』


「そうか……。時間を取って済まなかったな。部下に送らせよう。」


『あ、お気になさらず。もうすぐ、潤君が来るはずですから。』





直後、潤君のAちゃーーん！と叫ぶ声が聞こえた。


ね？と箕浦さんに目だけで語りかけると、箕浦さんは一瞬目を見開いて、やれやれという風に笑った。









「凄いねー、Aちゃん。どうして判ッたの？」


『うーん……何となく？』


「何となくで判るものなの……？」


『私は判った。』


「やっぱり、僕なんかとは住む世界が違うンだろうな……。」


『あ、あの川、良い川だなあ……。』

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