もやし ページ16
怖い。
この時の太宰さんについて答えろと云われれば、私は間違いなくこう答える。
口元に薄く描かれた三日月。
光の無い瞳。
他の人はおそらく気づいていない。正面に立つ私だけが感じる恐怖。
私の全てを見通しているような太宰さんが怖かった。
『う、家から、通います……。』
「うん。それが良いだろうね。矢張り住むなら住み慣れた場所がいい。」
『それで、その、』
「ああ、ごめんね。話したくなかったら別に良いんだ。」
ただ少し気になってね、と肩をすくめる太宰さん。
『……いえ、話します。秘密を作るのは“
「……そうか。」
『多分、察しはついてると思いますが、私は学校に通ってません。
義務教育を終了した後、進学はせずにバイトなんかをして暮らしていました。生憎、親がアレなんで、お金なら腐る程ありますし。』
私の言葉に敦君は、お金……腐る程……とブツブツ繰り返している。
「……うん。もう良いよ、Aちゃん。」
『えっ?』
「私が聞きたかったのは、学校に通ってるかどうかだけだからね。」
過去だの何だの全て話さなければいけないのかと思ってた為、少し拍子抜けだった。
まあ、ホッとした気持ちもあるけど……。
『……あの、皆さん。宜しくお願いします……!』
ペコリと頭を下げると、探偵社の皆は微笑んでくれた。
あの後、私の歓迎会を兼ねたプチパーティーが開かれた。
やれ酒だ(主に太宰さん)とか、やれ駄菓子だ(主に江戸川さん)とか、とにかくどんちゃん騒ぎだ。
親が外国にいる私にとっては、久しぶりに誰かと過ごす時間は楽しかった。
「そう云えば、Aちゃんの好きな食べ物って何?」
潤君の質問に答える。
『好きな食べ物? うーん……、もやし、かな。』
「もやしっ!?」
『うん。もやしを1日に9kg食べれば死ねるんだって。
もやしなら安いし、毎日食べてるンだけど、なかなか目標に達しなくて……。』
「ああ、良いよね、もやしジサツ。私も試してみたいと思っているのだが、時間が無くてね。」
『……じゃあ太宰さん。今日の夜はもやしパーティしませんか?』
「良いね!!」
『ウチでしますか? 誘ったのは私ですし……。』
「お邪魔しても良いのかい?」
『勿論です。』
「お前ら巫山戯てるのかっ!?!?!?」
あ、国木田さん弄るの楽しいかも。
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こおりざとう(プロフ) - みるくてぃーさん» 確かにそちらの方が、後味も悪くなく(?)良い気がしますね…!次からは、もう少し幸せな終わり方を目指してみます。ありがとうございました。更新頑張ります! (2016年11月2日 21時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃー - どうせならハロウィン『…っていう夢を見たんだ。』敦「やめて」って感じの方が…!でも面白かったので良し!!更新頑張ってください! (2016年11月1日 0時) (レス) id: acf5ab12fc (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 物部さん» 改めまして、物部さん。コメントありがとうございます!更新頑張ります!! (2016年10月30日 8時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
物部(プロフ) - ネーム変更致しました。元サクヤの物部です_(._.)_改めて更新頑張って下さい! (2016年10月30日 0時) (レス) id: fcc84377d6 (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 黒兎さん» フォローありがとうございます!!面白いと言われると、私のやる気が上がります(笑)文才は無いですが、無いなりに頑張っていきます。 (2016年8月19日 7時) (レス) id: 78284aef9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こおりざとう | 作成日時:2016年7月12日 22時