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意識が覚醒する。
夢の中に旅立っていた意識が、現実に戻ってきた。

ぬいぐるみになってからは、食事や睡眠、排泄などの生き物として必要な作業はしなくても良くなった。

なんせ、この身は綿と布で出来ている。
人でない、いや、生き物ですらないのだ。
不思議な領域に身を置いていることは、A自身重々承知済みである。

かと言って、眠れないという訳ではなく。
Aはふとした拍子に意識が無くなることがある。

寝ているのではなく、Aの魂が記憶を整理するために夢を見ているのではないかと。
このことを聞いてみると、ミスラからはそのような適当な答えが返ってきた。

Aはその答えに、確かに、と納得した。
なんせぬいぐるみになってから、Aは夢を見るとそれを夢だとしっかりと認識できるようになった。
例えるならば、Aの記憶が図書館だとして。その中で選んだ本をパラパラとめくり、過去の記録を眺めているような感覚に近い。

なんせ前例がないので、この現象の原理はハッキリと分からない。
それでも、懐かしい心地に浸れるこの瞬間が、Aは好きであった。

「うわっ!?」

意識を戻すと、じっと目を開けたままのミスラが視界に入った。

日はもう明けている。
世界はもう目覚めている頃であった。

そんな清々しい一日の始まりに相応しくなく、ミスラの目の下には黒ずんだクマができていた。

「ミスラ、珍しく早起きだね!」

「はあ…」

「目の下のクマ凄いじゃん!大丈夫?」

「眠れなかったので」

「眠れない?」

よしよしと目の下を撫でてやる。
ミスラはその感触に釣られるように、そっと目を閉ざした。

しかし、その後すぐに開いて、「ダメだ」と言葉をこぼした。

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あいねこ - 最高です。キャラクターとの関係性が素敵すぎます!素敵なお話をありがとうございます。更新楽しみにしております。 (2021年4月19日 2時) (レス) id: 650a36dc0f (このIDを非表示/違反報告)
藤李 - ぬいぐるみが主人公とは珍しいですね!とっても面白かったです!続き待ってます!o(*゚∀゚*)o (2020年4月14日 19時) (レス) id: b71c5bc041 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星子 | 作成日時:2020年2月29日 2時

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