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｢の、ニノ、ニノ！｣
｢えっ｣
肩を揺さぶられて目を覚ます。
視界いっぱいに濃ゆい顔。寝起きに悪い。
｢じゅ、んくん……｣
おれの頬に手を置いて、大丈夫か？って見つめてくる潤くんは、多分じゃなく昔からモテていた。
おれは、あの後、そのまま壁に凭れて眠ってしまったみたいだ。
｢うん…ごめん、ありがとう｣
｢疲れたんだな｣
よしよしって頭を撫でられる。
ちなみに、
｢これが智？｣
指さす下、つまりおれの膝の上には、
丸くなって呑気に寝てる黒猫。
｢…………多分｣
｢まあ智っぽいよな、お前にくっついて眠ってる感じ｣
すぴーすぴーと
気持ちよさそうに眠ってるから呑気なもんだ。
そうだ。智はよく眠る人だ。
朝起きて、朝日をポーっと眺めて、昼前にはまた眠る。おれがソファでくつろいでいたりすると、わざわざおれに近づいて眠る。
おれはどんな顔して黒猫を撫でていたんだろう。
潤くんが、ふむ…と少し眺めて、よしっ！て膝を叩いて立ち上がる。
｢とりあえず、コーヒーとかマグカップとか掃除するよ。あ、あと昼飯買ってきた。どうせ食べてないだろ？一緒に食おうぜ｣
｢まつもっさん、、！｣
おれが叫ぶと、その声でぴくん！と膝の上の黒猫が起きる。
くあーって伸びをして、顔をグシグシと擦る。
うわ、様になってやがる。
さっき猫になったばっかなのに。
じぃっておれをみる黒猫が、
おれの胸に前足を置いて、
ぺろりとまた、おれの鼻を舐める。
｢智……｣
思わずギュッて抱きしめてしまうけど、
猫だから、全然細い。
頼りない。
……智に逢いたい。
そんな様子を見てたのか潤くんが、｢カズ、１回シャワー浴びてこいよ｣っておれに微笑む。
｢…うん｣
そうだ、このコーヒーの匂いが、鼻にくっついて気持ち悪い。
頭がぐわんぐわんする。
時計をちらりと見る。
人間の大野さんを見なくなってまだ2時間くらいしか経ってない。
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作者名：楽斗 | 作成日時：2022年10月18日 21時
