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だから、月曜日は嫌い。
月曜日はニノを連れていってしまう。
｢智｣
朝、ネクタイ結んだニノが、まだ布団に囚われてるおれを優しく起こす。
｢智｣
｢んん゛っ｣
薄く目を開けると、ニノがたまんないって顔して笑ってるのが見えた。
｢んふふっ、おはよ｣
月曜日がニノを連れていく。
ニノはネクタイは結ぶけど髪の毛はセットしないから、そのアンバランスさが、不安定だった10代の頃を思い出して、
おれは朝からおセンチになってしまう。
おセンチ。
マヌケな文字列だ。
ニノは立派な社会人になったけど、おいらはどうだろう。
高校を卒業して制服を脱いだら、自分の成長の尺度が無くなったみたいで、よく分からなくなった。
まあでもおいらの成績表…ほとんど×だったな。
×だったところは、卒業するまでずっと×だったから、成長してなかったんだと思う。
｢もう、いくの？｣
｢ん。今日ちょっと遅いかも。17時から会議だから｣
｢……ん……｣
｢そんな顔しないで。帰る頃に連絡するから。行ってきますね｣
んちゅって、軽やかなリップ音をたててニノがおれにキスをする。
恋人の、いってきますのチュー。
つまるところ、おれたちはラブラブなのだ。
バタン、とニノが行ってしまった家は、どこか頼りなくて、物寂しい。
足りないな、と思ってしまうともうダメだった。布団に潜って、体を丸めて眠る。
ひとりで暮らす方が、しょうに合っていた。
嬉しいと寂しいの落差を感じなくて済むから。
うーんって寝ぼけた頭で今日やらなきゃいけない事を思い出す。
今日は…今日の予定は…来週締切の本のカバーを描いて…、再来週締切のデパートのなんか広告のデザイン案を考える…。
打ち合わせはなくて…、会社の人の連絡もないはず…。
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作者名：楽斗 | 作成日時：2022年10月18日 21時
