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アーヤのお母さんが出てくる。
「いつもありがとねぇ」
アーヤに手を振った後、俺達はその場で解散して別れた。
「ねぇ、小塚」
「何?」
小塚は家が同じ方向にあるらしく、二人並んで歩く。
「アーヤのこと、どう思う」
俺自身、何を言っているのか分からない。
「え、、てワッ!」
小塚は驚いたのか、よろけて近くの電柱にぶつかりそうになる。
「…好きな人、かな」
数秒の沈黙のあと、ついに言葉を発する。
「も、勿論、仲間としても一人の女子としても大切だよ」
頬がほんのり赤くなっていた。
「僕達、男だらけの社会だから、アーヤがいないとうまくやっていけないと思うんだ」
「潤滑油、みたいな感じ?」
「そう!」
「へぇ」
無意識に天を仰ぐと、夜空には満天の星が輝いていた。
「さっきまではこんなに星はみえなかったんだけどね」
「街から離れたからだよ。周りの明るさに星の見えやすさが関係するんだ」
「明順応と暗順応って知ってる?」
聞いたことがある。
「明るいところでは瞳孔が小さくなって入射光量、すなわち目に入ってくる光が減る。よって星の輝きが減ったように見える。暗順応ではその逆になるんだよ。」
ふぅん。
「流石、社理の小塚。」
拍手して見せると照れたのか、ハハッとぎこちなく笑う。
「ところで僕達、家を通り過ぎちゃってるんだけど…」
「ただいま。。。。。ウッッ」
帰宅すると、キッチンから玉ねぎの匂いが凝縮したように俺の鼻に降り掛かってきた。
夕食の準備で玉ねぎを切っているようだが、とても耐えられない。
涙目になりながらも自分の部屋に辿り着いた。
夕食を終え、部屋の勉強机にうつ伏せになる。
今日は勉強に集中できない。
アーヤの事が頭に浮かぶ。
そして小塚。
…小塚もアーヤのこと、好きなんだ。
他の奴は(…七鬼を除いて)アーヤへの言動を見ると、すぐに分かった。
いつも控えめな小塚だからこそ、隠しているのかもしれない。
ふと鏡を見ると目が涙で赤くなっていた。
あぁ、そういえば夕食のとき、悩み事はあるか聞かれたな。
これが原因だ。
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K - 一番右のお星様をポチッと (2019年8月17日 20時) (レス) id: 70bbe6910f (このIDを非表示/違反報告)
雀 - 次の更新が楽しみ。頑張ってください (2018年8月3日 11時) (レス) id: 12ece78d39 (このIDを非表示/違反報告)
700万年前に突如現れた猿人 - みっ、ミーさん? (2018年4月12日 15時) (レス) id: 5029f80b34 (このIDを非表示/違反報告)
ミーさん - たっ、翼 (2018年4月8日 20時) (レス) id: 7312ac3647 (このIDを非表示/違反報告)
700万年前に突如現れた猿人 - さあたんさん ありがとうございます。頑張ります。 (2018年4月5日 19時) (レス) id: 5029f80b34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サヘラントロプス・チャデンシス | 作成日時:2018年3月21日 11時