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17話 ページ17

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「あーあ、やっちゃった。」



無一郎は夜の森で一人溜め息をついた。



司令を受けた任務を終え帰ろうと思ったのだが、今回は些か潔の悪い鬼だった。
塵と化す直前に最後の力を振り絞って太い針のようなものを無一郎に飛ばしてきたのだ。

鬼の頸を斬って少し気を緩めてしまっていた無一郎の腕にそれは刺さってしまった。




幸い致命傷にはならなかったし傷もそこまで深くはないので止血すれば良いか、と思った矢先。

無一郎はあることに気づいてしまった。



「え、これ蝶屋敷に行く最高の口実じゃん。」



蝶屋敷に治療をして貰いに行くという口実でAに会える、という事実にはっとした無一郎は傷を負ったのにも関わらず随分と意気揚々としていた。

怪我をしてきたと言えば胡蝶にだって何も言われなくて済む。



無一郎は嬉しそうな笑みを零すと蝶屋敷のある方向に歩みを進めた。








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「すみませーん。」

「はい!」



蝶屋敷を訪れた無一郎を出迎えてくれたのはアオイとAだった。無一郎はAの姿を捉えるとタッと無一郎に駆け寄った。



「む、むいちゃん。怪我、したの?」



自分のことをあわあわと心配するAの姿を見て、無一郎は額に手を当てて幸せを噛み締めていた。



待って僕幸せすぎて心がもたない。



「うん。でも大したことはないから大丈夫だよ。」



無一郎はそう言ってAを見て笑った。
Aはその言葉に少し安堵したように胸をなで下ろした。



Aのことを穴が空くほどじーっと熱の篭った眼差しで見つめる霞柱様のことを、アオイがじとっとした目で見つめる。



因みに蝶屋敷の者達(Aを除く)は皆、霞柱様がAに懸想していて、更には女の子と偽ってAに近づいていることを知っている。

だから若干、いやかなり。霞柱は蝶屋敷の者達から警戒心を持たれているのだ。

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ピクルス - 号泣 (2020年9月9日 14時) (レス) id: 2a7c012e78 (このIDを非表示/違反報告)
ピクルス -  うわぁぁぁぁぁぁぁあん!無一郎くん死なないでぇぇぁえぇぇぇぁあぇぁあええ (2020年9月9日 14時) (レス) id: 2a7c012e78 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - わたぬきくん。さん» お祝いのお言葉ありがとうございます!そのように言って頂けて嬉しい限りでございます!最後までお付き合いくださりありがとうございました! (2020年8月30日 10時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
わたぬきくん。(プロフ) - テスト期間終わってきたら完結してた…ああもう号泣です!完結おめでとうございます!(泣) (2020年8月29日 14時) (レス) id: 9e97a6dad3 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - リムさん» お祝いのお言葉と応援のお言葉ありがとうございます!そのように言って頂けて光栄の極みでございます…!本当に感謝の限りです。最後までお付き合いくださりありがとうございました! (2020年8月27日 0時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白霞 | 作成日時:2020年7月23日 20時

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