12話 ページ12
結局どちらも折れなかったのでそれぞれ自分の分は自分で払うという形になった。
無一郎は不服そうだったがこればっかりは仕方がない。
「Aはどこか行きたいところある?」
「い、いえ、特には…。」
あまり街中に来ないのか物珍しそうにキョロキョロと辺りを見回すA。しかし男性がそばを通る度にビクリとした様子で無一郎の方に身を寄せていた。
無一郎は自分の傍に来てくれることが失神レベルで嬉しいのに対して、自分が男だと知られたらこんな風に怯えられてしまうのかもしれない…と心苦しく思った。
男でないと偽っている自分が悪いことは重々承知だ。しかしこうでもしなければ永遠に彼女に近づくことはできない。
自分でもびっくりするくらいの執着心にふぅ、と溜め息をついた。
「むいちゃん、大丈夫?」
無一郎の溜め息が聞こえたようでAは心配そうに無一郎を見る。
「大丈夫、何でもないよ。
あ、あそこ入ってみない?」
無一郎は上手い具合に話題を変えることに成功した。
無一郎が指さしたのは小さな髪飾りのお店。外観は少し古びているけれど小綺麗で大切にされてきていることが窺える。
「うん…!」
Aも興味を持ったのか少しだけ目を輝かせてそのお店に足を運んだ。
隣を歩く想い人にチラリと視線をやると、無一郎はAに聞こえないくらい小さな声量で「好き」と呟いた。
.
「あ、しのぶ姉様の色の蝶々…。」
「(蝶々見て笑顔になるとか犯罪レベルで可愛すぎるでしょ…。)」
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ピクルス - 号泣 (2020年9月9日 14時) (レス) id: 2a7c012e78 (このIDを非表示/違反報告)
ピクルス - うわぁぁぁぁぁぁぁあん!無一郎くん死なないでぇぇぁえぇぇぇぁあぇぁあええ (2020年9月9日 14時) (レス) id: 2a7c012e78 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - わたぬきくん。さん» お祝いのお言葉ありがとうございます!そのように言って頂けて嬉しい限りでございます!最後までお付き合いくださりありがとうございました! (2020年8月30日 10時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
わたぬきくん。(プロフ) - テスト期間終わってきたら完結してた…ああもう号泣です!完結おめでとうございます!(泣) (2020年8月29日 14時) (レス) id: 9e97a6dad3 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - リムさん» お祝いのお言葉と応援のお言葉ありがとうございます!そのように言って頂けて光栄の極みでございます…!本当に感謝の限りです。最後までお付き合いくださりありがとうございました! (2020年8月27日 0時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白霞 | 作成日時:2020年7月23日 20時