【twst】真鏡の瞳III

バラのキャンディ ページ36

Aは、僕をよく見ていた
いや…僕の気持ちがよく分かっていた
と言った方が正確だ

あの子の目を見ていると全て見透かされる
けれど不思議なことに嫌な気はしなかった

むしろ僕自身(僕が望む僕)を映しているようで
ママと居るより安心出来るような気さえした

ケイト「ほらほらリドルくん！
エースちゃんの詫びタルトを早く食べなよ！」

「あぁ、それもそうだね」

フォークを手に持ち一口サイズに切り
口の中へと運ぶ

「……うん、美味しいよ。」

とても美味しい。
幼い頃に食べた苺タルトと同じだ

今までずっと我慢してきたのに
こんなにも簡単にお母様を恐れずに
糖の塊を食べてしまった

あぁでもお母様、苺タルトは毒なんかじゃないです

『さて！じゃあここら辺で歌って
パーティを盛り上げましょうか！』

僕が食べてる途中だが
いきなりステップを踏んで歌を始めるA

序奏を鼻歌しながら魔法で制服から
ハーツラビュルを模したドレスへと変える

『〜♪』

急にどうしたんだと思えば
頬を伝う液体に、その理由が分かった

そうか、僕は泣いていたのか

それを寮生に見せまいと
自身に注目を集めたわけか

『なんでもない日 万歳♪
今日この日は ポットや花も歌う♪』

ティーポットや花たちを魔法にかけ
楽器のように鳴らさせ楽しそうに踊るA

マジカメ映えだとルンルンに撮るケイト
さり気なく足でリズムに乗るトレイ
魔法の歌に目を輝かせる新寮生ふたりと猫一匹

そして歌の終盤で僕の涙が収まった時には
手を引かれて分かりもしないダンスに付き合わされたが
Aの心底楽しそうな顔で何も言えなかった

『大事な秘密が バレぬように♪』

その歌詞を最後に歌を終わらせたが
どうやら僕にまじないを掛けたようだった

まじないが何かは分からないけれど
フロイドのような悪戯ではないだろう

やれやれ、今度お礼をしなくてはいけないね



────────────────
【作者:飽き性】＿|＼○＿
　ジャックさん誕生日エピソード思いつきませんでした…
　この作品の番外編を作ったらなんとか載せますので
　大遅刻以上に酷いですが許してクレメンス…

平穏エンド！？→←入れ替わる空気

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す