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お風呂に入り、髪や身体を洗っていく。
メルロになっている間、彼女の身体の時間は止まったまま・・・つまり、4年前と変わらない。
本当ならば2度と人間に戻らない覚悟をしていた彼女は、どことなく不思議な感覚だった。
けれど、お湯に浸かった瞬間の水の感覚や温度に愛しさを感じた。
・・・人間としての全てが4年ぶり。
湯に浸かった瞬間、Aは自分の身体が熱を持ち、脈が速くなることを感じた。
4年間、人間として当たり前の感覚がなかったのだと痛感する。
久々のお風呂にのぼせないように、ほとんど湯船につからずに上がった。
彼女は風呂上がりにバスタオルを巻き、長髪のメルロとは違い、肩までの長さの茶髪をタオルドライする。
置いてあるはずの服を探すものの、それらしきものはない。
日頃の中也の服装からして、シャツやジャージを想定していたものの、それらしきものはない。
置いてあるのは綺麗に畳まれたタオルくらいだ。
『ない・・・?』
キョトンとする彼女の耳に、信じられない音が聞こえた。
ーーーガチャ。
彼女にとっての不吉な音がした引き戸に目を向けると、閉じていた扉が開き・・・
服を持った中也がいたのだ。
『きゃああああッ!』
突然のことに驚きが隠せず大きな悲鳴をあげると、中也は慌てて引き戸を閉める。
中「うわあッ!わっ悪ィッ!」
互いにのぼせたように顔が真っ赤になり、頭も混乱する。
『なっ、なんでいきなり開けるんですかッ!?信じられないッ!主の変態ッ!』
驚きと恥ずかしさから、扉越しにAはらしくもない大きな声を上げる。
中「手前がまだ風呂だと思ったんだって!風呂早過ぎだろっ!」
『確認不足じゃないですカッ!そんなんだから醤油のストック余計に買うんですよッ!』
中「手前の風呂の速さハンパねぇからな!?ってか醤油は関係ねぇだろ!」
『言い訳するなんて男らしくない!ノックくらいして下さいッ!』
中「わ・・・悪かったな」
2人はまたもヒートアップした言い合いすることとなったのだ。
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出雲(プロフ) - 凛眞さん» コメントありがとうございます!呼び方間違えたかもしれません!次回作から改善しますね!情報ありがとうございます! (2017年10月9日 20時) (レス) id: ac01b1ef17 (このIDを非表示/違反報告)
凛眞(プロフ) - とても面白いですね!ところで思ったのですが、森さんは中也を「中原くん」ではなく「中也くん」と呼んでいた気がします!これからも更新頑張ってください! (2017年10月9日 19時) (レス) id: d97172139d (このIDを非表示/違反報告)
出雲(プロフ) - 紫猫日和さん» 夢主・・・つい驚いてボロがでましたね笑 これからもバタバタしながら頑張る彼女の応援、お願いします!更新頑張りますね!ありがとうございます! (2017年9月28日 17時) (レス) id: ac01b1ef17 (このIDを非表示/違反報告)
紫猫日和(プロフ) - 32話思いっきりメロルで喋ってる夢主可愛いです!更新頑張ってください! (2017年9月28日 16時) (レス) id: 1d1f3bbcfd (このIDを非表示/違反報告)
出雲(プロフ) - Pluieさん» わぁぁ!感動だなんて・・・コメント嬉しすぎます!これからも更新頑張りますね!! (2017年9月15日 7時) (レス) id: ac01b1ef17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:出雲 | 作成日時:2017年8月25日 21時