39こ目 ページ39
ここまで言われて仕舞えば反抗ができない。
『・・・太宰さん。貴方が川に流れていた時・・・やはり敦の手を引いて放っておくべきでした』
この言葉はーーー肯定を意味する。
後悔しても、もう遅い。
私が何年も積み重ねてきた秘密は、この人の前では通用しない。
諦めて下を向く。
・・・どうすれば良かったのかな。
敦「姉さんッ！！」
私が俯いていると、聞き慣れた声がした。
私の・・・双子の・・・
『敦・・・？』
乱「ほーら、此処にいた！」
どうしてここに・・・？
あとから乱歩さんも歩いてくる。
私が此処にいることを推理でもして来たのだろうか。
敦「手紙が、あったんだ。院長先生の・・・遺留品の中に」
『手紙・・・？』
敦「書いてあったんだ。姉さんが異能力だってことも、僕らが・・・双子じゃないってことも・・・ッ！ねぇ、どう言うことなんだよッ！！」
敦はいつになく取り乱している。
もぅ隠せない。
『こういう・・・ことだよ。異能力ーーー『月詠の化け狐』』
観念して化け狐になると、敦の顔が青ざめていく。
『見覚え・・・あるでしょ。私に』
敦「君は・・・っ！？どうしてっ・・・あれ？何で・・・ッ。姉さん・・・？だったの？」
混乱に混乱が重なって、敦はついに頭を抱えてしまった。
私の父と母は、戦時中に恋に落ちたらしい。
それからどういう経緯があったのかは分からないけれど、私は幼い頃から母と2人暮しだった。
時折、母の友人を名乗る男の人が家に来ていた。
それがあの院長先生・・・私の実父だった。
家に来ていても、私に笑いかけることもなく、話をするわけでもない、怖い人だと思っていた。
体の弱かった母が亡くなり、私は彼に引き取られた。
先が長くないと感じていた母は、亡くなる前に父の話をしてくれた。
古い一枚の写真を出して。
とっても不器用な人なのだと。
愛し方の分からない人なのだと。
それでも・・・確かに愛情を持った人だと言っていた。
その写真や母の話から、院長先生が実父だという事に気が付いていた。
院長先生は私に本当のことを言わず、いつものように無口のままだったけど。
院長先生に引き取られた私は孤児院に連れてこられたのだ。
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出雲(プロフ) - 千さん» コメントありがとうございます！太宰さんは何でも分かってそうだって印象です！次回も頑張ります！ (2017年8月26日 16時) (
レス) id: ac01b1ef17 (このIDを非表示/違反報告)
千(プロフ) - お疲れ様でした！太宰さんが些細な会話に違和感を持っているところが流石だなと思いました！ありがとうございました。次作も頑張って下さい！ (2017年8月26日 12時) (レス) id: c3a5a30d5d (このIDを非表示/違反報告)
出雲(プロフ) - 梅雨風夏さん» コメントありがとうございます！今回は個人的に伏線を多く使ったつもりでした！なので伏線について評価してもらえるのはすごく嬉しいです！ありがとうございます！ (2017年8月25日 21時) (レス) id: ac01b1ef17 (このIDを非表示/違反報告)
梅雨風夏(プロフ) - 完結、おめでとうございます！伏線の貼り方が迚も上手で驚かされました！これからも頑張ってください！ (2017年8月25日 21時) (レス) id: 306f9f397d (このIDを非表示/違反報告)
千(プロフ) - 分かります！私弟いるのですがもう生意気で生意気で…。でも敬語外した敦君みたいな弟ならうぇるかむ!です！ (2017年8月25日 11時) (レス) id: c3a5a30d5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：出雲 | 作成日時：2017年6月28日 9時
