90、キミの願い side-F ページ46
F『ダイジナ……プレゼント……』
ニカは最期に、俺にリンゴをくれた。
北山さんには水晶の欠片を二つ。
欠片の一片一片が、ニカの身体の欠片。
闇に堕ちたままじゃダメだ。
だって、ニカの願いは……。
更に数日後。
俺は問診を受けて、ホスピタル棟を出る許可が出た。
医「声を出せますか？」
F「・・・」
今まで拒否していた、声を出すという行為。
喋る事。
歌う事。
日の当たる場所に立つという事。
もう、顔を背けちゃいけない。
きっと自分の声じゃない声が聞こえてくる。
でもそれは、俺の空洞のリンゴをニカが命と引き換えに満たして生まれた、新しい声。
勇気を出してみよう。
F「ァ・・・」
微かだったけど、喉が震動を感じたのはいつぶりだろう。
医「もう一度。」
F「ア・・・アー・・・」
かすれてもいなかったし、喉が詰まるような引っかかりも無かった。
やっぱり元の自分の声とは違う。
ニカの声でもなかった。
違うけれど、気のせいか耳慣れた響きも含んでるような、愛しくも感じる、そんな声だった。
俺のリンゴは、何にも代え難い愛で満たされてる。
だから、俺はちゃんと声を出そう。
そして歌うんだ。
91、キミとの歯車 side-F→←89、熱情のシンクロ二シティー side-F
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 291人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
kyumapi(プロフ) - みちこさん» 死が誰かの糧になる←人間そんな風に死んだら、それが生きた証や意味にもなるかもしれませんね。こんな話を書いてみましたが、私も自分の余命などまだそれほど意識してるわけでも無く…でもいざとなったら、愛する人の一部になって生きたいと思うのかも知れません。 (2019年11月6日 19時) (
レス) id: 52d20d0833 (このIDを非表示/違反報告)
kyumapi(プロフ) - たいちゃんらぶさん» 最後にライブのシーンは、実際のライブでの様子をチョイチョイ取り入れてます。蹴破って登場とか「いけ藤ヶ谷ぁ」とか。あと太ちゃんはジャニーさん亡くなった時に天に投げキスしてたという事で。ドームの天井突き抜けてキスが届きますように、願いを込めて☆ (2019年11月6日 19時) (レス) id: 52d20d0833 (このIDを非表示/違反報告)
kyumapi(プロフ) - ソフィアさん» いつもありがとうございます。ソフィアさんにはお友達の思い出に纏わるとっても大切な楽曲でしたね。世界観を壊してしまっていたらすみません。でも私も本当に好きな楽曲で、未だに聴く頻度が高いです。ライブで万が一演る事になったら、多分泣きます(T~T) (2019年11月6日 19時) (レス) id: 52d20d0833 (このIDを非表示/違反報告)
kyumapi(プロフ) - ともさん» こんばんは(・∀・) こちらこそリクエストをありがとうございます。楽しく書かせて頂きました！お応えするのが大変遅くなって申し訳ございませんでした。ピュアなニカちゃんが永遠に藤北に宿っている…悲しいけれど温かいエンディングとなっていれば嬉しいです。 (2019年11月6日 19時) (レス) id: 52d20d0833 (このIDを非表示/違反報告)
みちこ(プロフ) - 完成お疲れ様でした(^_^)いつか死ぬときがきますが後悔せずに生きていきたいと思いますし死はけして悲しいばかりじゃなく誰かの生きる糧になると思わせてくれる作品でした(^_^)ありがとうございますm(__)mまた次作もお待ちしております！ (2019年10月30日 0時) (レス) id: 95022a0a60 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kyumapi
| 作成日時：2019年10月6日 22時
