【すとぷり】その愛で私を抱きしめてみて (ページ25)

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『…！ころんくん。ここガイドブックに書いてあった湖だよ』

こ「本当だ。写真で見るより綺麗かも」

秘境なのかな

誰もいない

森に隠された湖に

私たち二人だけ。

『本当に綺麗…』

こんなに素敵な風景がある国から、私は離れなきゃいけないんだ

もうすぐ日は沈む

いやだ

今日寝てしまえば、あとはもう起きて遊んで電車にのって

こ「…A。言いたいことがあるんだけど」

湖に見とれていた私に声掛けてくる

『なに？』

こ「本当にいなくなっちゃうの？」

私の手を取り、顔を見てくる

いなくなる…？

引っ越すってこと

『なんで知ってるの…』

こ「ごめん。るぅとが…」

るぅとくん

なんで言っちゃうのよ

こ「最近るぅとがすごく切なそうな顔をしてるから、無理矢理聞いたんだ。るぅとを責めないで」

『…なんで聞いちゃったの』

私は、君に知られないようにしてきた

それは、別れの時に辛いから

こ「今日だって、お別れ会みたいなもんなんでしょ？」

『…そうだよ。ころんくんには何も言わないでアメリカに行こうとしてた』

こ「なんで」

『辛いじゃない。せっかくできたお友達とお別れするなんて。胸が苦しいの。

神様は、お母さんとお父さんを奪って、また私からころんくんまで奪うんだって…！』

涙が流れて止まらない

やだ

これじゃ

『好きって言ってるようなもんじゃん』

自分で言ったことに恥ずかしくなった

『…好きなの。会ったばっかりなのに好きになっちゃったの。君がいないと笑えない。君がいないと楽しくない。』

消え入りそうな声で、私は言う

こ「なにそれ」

あぁ、嫌われちゃったかな

こ「一生お別れとか、もう会わないつもりとか…僕の気持ちぐらい考えてよ」

『ころん、くん…？』

抱きしめられてる

こ「…この前行った気になってる人って、Aの事だよ」

いきなりの告白に、びっくりする

『嘘…』

こ「何年会えるかわからない。けど、僕は多分A以上の女の子には会えないと思う」

私はころんくんの背中に手を伸ばす

『無理…反則すぎるよ…』

お願い

もっともっと

もっともっと

『その愛で私を抱きしめてみて』

そう言うところんくんは私をもっと抱きしめてくれた

大丈夫

大丈夫だよA

くじけなくて大丈夫

私には、ころんくんがいる

そうころんくんが、教えてくれたんだから