【文豪ストレイドッグス】異常な彼の愛し方-壱- (ページ44)

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続壱ページ44

「俺の写真なんざ、一枚で十分だろ」

「そうかも、知れないけど･･･。」

それでも彼の写真が欲しい。私の心はそう叫んでいる！

かつて、写真を撮ると魂を抜かれるだと思われていた時があった。私はきっとそれとは違って、写真に魂を吸われているのかも知れない。写真の写る彼に魅了されているのかも知れない！

「お願いっ！一枚だけ！」

「･･･しょうがねぇな」

「っ、ありがとうっ！」

私は彼の手を掴んで、自室へ連れて行った。私は彼を撮る時を考えて、カーペットやカーテンや椅子もテーブルも彼に合い、彼が好きそうな色と家具を揃えてきたのだ。

彼だけに用意した部屋！その部屋に彼の最高な写真を撮れる！自然のものばかり撮ってきた私が、彼の、たまたま撮った写真がきっかけで、彼の魅力を知った！自然なんかより勝る、彼の美しいその顔も体も全て！それを写真に残せるのは、これは私が残す最高な遺産でもある！

「見事に俺好みな部屋だな。前までは家具なんざ、あんま置いてなかったよな」

「だって中也の為に用意したんだよ。中也がこんなに綺麗なんて知らなかった。時間を無駄にした気分だよ。」

座って。と彼を椅子に座ってもらった。彼に合うように選んだ家具は全体的に黒が多い。それでも、彼も魅力はしっかりと写真に収めることが出来る。

「んで、俺は何すりゃいいんだ？」

「自然なままでいいよ」

「あぁ？」

少し不機嫌そうな顔をする彼を写真に収めた。写真に写るのは椅子に座り、腕と足を組む姿は綺麗だ。雑誌のモデルなんかより、ずっと綺麗で格好良い。

「ありがとう。一枚だけの約束だから･･もういいよ。」

彼の傍まで行き、私は彼の写真が撮れた事に喜んでいると彼は右手で私に右手首を掴み、そして左手でカメラを奪った。

「え、あ、中也！カメラ、返してっ！」

「黙れ」

苛立つ彼の声に私は黙った。彼の顔を見れば、やっぱり綺麗でずっと見ていたいとさえ思ったが、こんな状況では流石に言えなかった。

「俺も手前の写真ぐらいもらっていいだろ」

「私の写真？嫌だよ、こんな醜い顔の写真なんて」

私は写真の中で一番嫌いなのは自分が写っている写真だ。

「ま、手前の意見なんざ関係ねぇけどな」

そう言って彼はカメラで私の顔を撮った。

「や、やだ！消してよっ！」

カメラを取り返そうと手を伸ばすが全く届かない。

「優希」

彼が不意に私の名前を呼んで、右手首を強引に引っ張ると何故か彼の唇が私の唇に触れた。