【とうらぶ】微力だけど任せてください！！【ブラック本丸】 (ページ23)

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弐拾弐＊少年達の悪夢※流血表現ありページ23

また、夢を見た。

真っ暗な景色の中、ぼんやりとした景色が浮かび上がる。

『いち兄…いち兄！しっかりしてくれッ！！』

誰かが必死に叫んでいる。

横たわる1人の手をしっかりと両手で包みこんで。

『いち兄ぃぃ！！嫌だよ！折れないでッ！！』

さっきの低い声とは真逆の高い声が、悲痛な声で頼み込んでいる。

『待ってくれいち兄…俺達を置いていかないでくれよ…ッ！！』

もう1人、手を握る少年の隣で声をかける少年がいた。

『いかないで』『折れないで』『しっかりして』

これらの言葉が何を意味するかなんて、きっと小学生でも分かる。

私は、ぼんやりと頭の中で呟く。

あぁ、あの人は…あの刀はもうすぐで折れるんだ。

横たわる人を確かめようと距離を詰める。

３人が頭を寄せ合っているため、足下からは難しいだろうと重い、頭上に回る。

それでもよく見えないので、しゃがみこんで覗き込む。

空色の髪に蜂蜜色の瞳。

顔立ちは整っているものの、その顔は苦痛に歪んでいた。

口の端から血が溢れて、頭から顔を覆うように流血していた。

綺麗な髪も赤く染まりかけていた。

「いち兄」と呼ばれるからには、彼らの兄なのだろう。

弟を見つめる目は、哀しみに満ちていた。

苦しそうに浅く不規則な呼吸を肩でしている姿は何とも痛々しい。

「どうして…」

口をついて出た言葉はこれだった。

理由は分からないが、それを考えるより早く"彼"と目が合った。

『誰…ですかな…』

『え…？』

折れかけの彼は確実に私を見ている。

兄の不自然な発言に、３人は兄の視線を追って顔を上げた。

しかし、彼らには見えないのだろう。

『いち兄…何を言ってるんだ？』

手を握る彼はすぐに兄へと視線を変えて問うた。

彼は何かを察したように、私を見つめたまま目を柔らかく細める。