【とうらぶ】微力だけど任せてください！！【ブラック本丸】 (ページ22)

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弐拾壱＊ブラック短刀２※流血表現ありページ22

胡座の少年は続けて私に話しかける。

「あんた、ここの新しい審神者なんだってな。
ということは、事情は聞いてるんだな？」

「事情…というと？」

「とぼけんな」

短髪の少年が刀を押し付けてきて背筋に冷や汗が伝う。

「ここは闇堕ち本丸って呼ばれてんだ。何が原因かは聞いてんだろ」

「や、闇堕ち本丸っていうんだ…ブラック本丸じゃなくて」

「今は巫山戯てる場合じゃないの…分かるよね？」

次は男の娘から押し付けられ、恐怖で泣きそうになる。

「げ、原因は前の審神者ってことだけ……」

「じゃあその審神者が何をしたのかは？」

「そ、れは…知らない」

下手に嘘を吐くのも、怪しまれるような言動も控えるべきだと判断し、慎重に答える。

目の前の少年は顎に手をそえて考える素振りをすると、小さく頷いた。

「分かった。つまり、何も知らないんだな」

「まじかよ…政府の奴等からも聞いてねぇのか？」

「え、と、特には…」

「え～有り得な～い！この本丸が政府から見放されたのって本当だったんだ…」

見放された…？それが本当なら可笑しな話だ。

見放されたのなら、何故新しい審神者などを送ったのか…。

「見放された訳じゃ…ないと思う。
現に私は正式な審神者としてここにいるし」

「ふぅん？じゃあどうして政府は、本丸の主となる人物に何も教えなかったの？」

「それは…分からないけど…」

私の言葉に深く溜息をついた男の娘は、刀を鞘(ｻﾔ)に収めた。

「もういいんでしょ、薬研？」

「ああ。解放してやってくれ」

短髪の少年も刀を鞘に収め、私から距離をとった。

「もう帰っていいぞ」

「あ、うん…」

何だったのだろうか…と疑問に思いながら部屋を出ていこうと立ち上がった。

すると、音もなく距離を詰めてきていた少年が呟いた。

「忘れ物だ」

言葉を理解する前に、腹部から痛みが広がった。

「ぅあッ！？ガハッ…！」

ボタボタと重い音を立てながら血が床に落ちる。

私は、少年から刀を突き立てられていた。

腹部から刀を引き抜かれると、鮮血が大量に零れ落ちる。

力が抜けて、お腹を抱えたままその場に膝をつく。

口の中に鉄の味が広がり、赤い液体が口から溢れ出る。

「うあ"あ"ぁ…っ！っ…ゲホッ！」

喉がヒューッと音を鳴らす。

視界が眩み、意識も曖昧になってきた。

そんな中、少年の声が聞こえた。

「その痛み、忘れるなよ。これからよろしくな。
……たーいしょ？」

その言葉を最後に、私は意識を手放した。