【とうらぶ】微力だけど任せてください！！【ブラック本丸】 (ページ15)

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拾肆＊既視感のある悪夢※流血表現ありページ15

昨日は長谷部さんのお陰で今日中に終わらせられそうな書類を半分終えた。

そして今日はその残り。

「今日中に終わると思ってたのに翌日にその半分…我ながら効率が悪い」

「〆切までまだ時間は沢山ございます。慌てずもと間に合いますよ！」

「それもそっか…」

ブラック本丸に来て三日目。

こんのすけとは大分仲良くなれたと思う。

「う～ん…少し休憩しようかな」

伸びをして寝転がると、大きな天井が視界いっぱいに広がる。

かつてはこの無駄に広い天井の下で皆仲良く食卓を囲んでたのかな…。

そっと目を瞑ると、物凄い早さで眠気が襲ってきた。

――夢を見た。血飛沫が部屋の中に飛び散り、悲痛な叫びが谺響(ｺﾀﾞﾏ)する。

『うわあああああああ！！！』

『やめてください！！主君！許してぇ！！』

『――が死んじまう！誰か助けて！！』

ボヤけてよく見えない…何が起こってるの？

辺りを見回しても広がるのは真っ赤な惨状。

血を落としながら逃げ惑う小柄な体。

庇うように立つ者を貫く刃。

誰から逃げてる？何に怯えてる？

体が思うように動かない。

私はその場に立ち尽くし、一つも身動きが出来ないでいた。

やめて…やめて、やめてやめてやめて！！！

心で強く唱えても、一向に止まらない。

その時、誰かが私のもとへ走って来た。

『助けてくださいッ！！！』

「―――ッは…！！」

夢…赤い夢…黒…悪夢……血だ…。

頭が混乱していることを理解していた。

汗が何処から出てきているのかも分からない。

ノロノロと起き上がると、こんのすけが心配そうに顔を覗き込んできた。

「審神者様…うなされていましたが、どんな夢を見たのですか？」

「夢……そうだ、夢だよ。夢なのに、ヤケにリアルで…」

頭痛のする頭を何とか働かせ、どんな夢だったかを思い出そうとするが、黒い靄がかかったようにおぼろげだった。

ふと辺りを見回すと、広い一部屋にテーブルがある大部屋。

そうか、あの現場はここか…と理解する。

あの惨状は、ここで起こっていたのか。

「…こんのすけは、ここでどんな事が起きたのかは知ってるの？」

「…はい、存じ上げております」

「そっか…この部屋が血で汚れたことも？」

「はい…審神者様、そのような夢を見たのですね」

私は黙って頷いた。

夢見が悪かったのは、暑かったせいなのか…いや、今の季節は春。

そこまで暑いわけではなかった。

少し頭を冷やそうと厨(ｸﾘﾔ)へと向かう。