キズナ ―TRANSMIGRATION PRAY― ② (ページ9)

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高麗国６ページ9

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『(…自ら正体を明かすこともないだろう)』

「それにしても、凄いよねぇ――小狼君。サクラちゃんに羽根が戻っても、小狼君との思い出は彼女には戻って来ない。それでも探すんだろうね、小狼君は。色んな世界に飛び散ったサクラちゃんの記憶の羽根を、これから先、どんなに辛いことがあっても」

『ああ、そうだろうな』

「とにかく、修理しながらみんなを待とうね――。お土産あるかなぁ」

『どうだろうな？』

「って、なに茶飲んでくつろいでんだよ！」

「んー？」

コップを片手にくつろぐファイに、黒鋼はブンと手に持っていた金槌を放り投げた。

『落ち着け、黒』

そう言ってAは座りながら静かにお茶をすする。

「お前も一緒になって何くつろいでんだ!!お前らもヤレよ!!」

「やー、黒ぴっぴの働く姿を見守ろうかな―って」

『その通りだ』

「…………」

手伝う気などさらさらない二人に、黒鋼はワナワナと手を震わせた。

――ｻﾞﾜｯ。

『(……もう追って来たか)』

不意に感じた魔力の塊に、Aはコップを置いて立ち上がった。

「どうしたの―？Aちゃん」

『すぐに戻る』

Aはそれだけ言うと春香(チュニャン)の家を出て行く。

「なんだぁ、あいつぁ？」

「……黒ちっち、お留守番お願いねぇ」

へにゃと笑うとファイもAの後を追うように春香の家を出て行った。

「おい！」

黒鋼は一人、春香の家に取り残される。

「…何でおれが人ん家の留守番しなきゃなんねぇんだ」

一人愚痴る黒鋼だった。