キズナ ―TRANSMIGRATION PRAY― ② (ページ7)

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高麗国４ページ7

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「つまり、その暗行御吏(アメンオサ)が来て欲しいくらいここの領主(りょうしゅ)は良くないヤツなのかな？」

「最低だ！それにあいつ母さん(オモニ)を……」

ぐっと拳を握り締め、春香(チュニャン)は泣きそうな顔でそう言った。

ｺﾞｵｫｫｫｵｵ――

「風の音？」

音とともに家屋の柱がミシミシと軋み出すのを見てファイが言った。

「外に出ちゃだめだ!!」

春香は叫ぶ。

ﾊﾞﾀ――ﾝ!!

風圧により窓が吹き飛ぶように開き、入り込む風は激しく吹き荒れた。

ｺﾞｵｫｫｵｵ!!!!

巨大な竜巻が家屋の瓦を取り込み、砂塵を巻き上げる。

小狼は咄嗟にさくらを庇い、ファイはモコナを掴んだ。

「わっ！」

崩れた柱の木片が春香を目掛けて落下する。

――ﾄﾞｵｫﾝ！

素早くAが春香を抱え、飛び退いた。

『大丈夫か？』

「ああ。だけどA、怪我が!!」

Aの腕を見て、春香は心配そうに顔を歪める。

春香を助けた際に負った傷のようで、腕部分の服が破けて血が滲んでいた。

『かすり傷だ、心配するな。直ぐに治る』

春香の頭を優しく撫で、Aは微笑んだ。

風は家屋をあらかた破壊するとフッと消え去った。

「自然の風じゃないね、今の」

穴の空いた屋根から空を見上げ、ファイが言った。

「領主(リャンバン)だ！」

ギリと春香は両手の拳を握り締める。

「あいつがやったんだ!!」

春香は握り締めた拳を突き上げ、空に向かって叫んだ。