ジェイド国５ ページ39
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「本？」
「はい」
「おまえみたいな子供が!?」
「いえ、あの人が」
と、小狼はファイを指差す。
「そうなんですー」
小狼の話に合わせ、ファイは笑ってそう答える。
「で、その子がオレの妹でー、その子が助手で――、この人がオレの奥さん」
そう言ってファイはAの腰を優しく引き寄せて抱く。
『(……奥さん…か…//)』
Aはファイの思いがけない言葉に少し驚きながらも、内心、照れていた。
「で、こっちが使用人」
最後に黒鋼を指差してファイが言った。
「誰が使用人……がっ!!」
否定しようとした黒鋼の言葉は、コートに入ったモコナの頭突きによって遮断された。
「やめなさい！」
男達に向かって大きな声が響いた。
「先生…！」
「旅の人にいきなり銃を向けるなんて！」
先生と呼ばれた男は背後に小狼達を庇うようにして、男達と向かい合わせに現れた。
「しかし、今の大変な時期に余所者は……!!」
「余所から来た方だからこそ、無礼は許されません！」
『(……カイル…)』
男達と言い争う男を、Aは馬上から冷めた目で見つめていた。
「失礼しました、旅の方達。ようこそ、"スピリット"へ」
男は振り返り微笑むと、歓迎の意を表した。
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「この町の医師、カイル＝ロンダートと申します」
５人は先ほど町に歓迎してくれた男、カイルにより彼の家に案内された。
さくらとAはソファに腰をかけ、さくらの隣側には小狼が立ち、ファイはAの隣でソファの肘掛けに座り、黒鋼はその隣に立っている。
「ありがとうございます、泊めて頂いて」
「気にしないで下さい。ここは、元は宿屋だったので部屋は余っていますから」
――ﾊﾞﾝ!!
突然、勢いよく扉を開ける音が響いた。
「どういうことだ、先生！こんな時に素性の知れない奴らを引き入れるなんて正気か！」
扉を開けたのは中世的な顔立ちをした杖を持った男だった。
男は怒りで少しばかり興奮している。
「落ち着いて、グロサムさん」
傍らに立つ老人が男をなだめるように言った。
「これが落ち着いていられるか！町長!!まだ誰も見つかっておらんと言うのに！」
グロサムは小狼達の前で立ち止まると、持っていた杖を床にガッとついた。
続く (更新停止中)
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作者名：秋姫 | 作成日時：2018年12月17日 12時
