高麗国２１ ページ24
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――ﾀｯﾀｯﾀｯ…
三人は
『ふむ…』
走っていたAが急にピタリと足を止めた。
「何やってんだ、おいてくぞ」
立ち止まるAを見て、黒鋼とファイもその場で足を止める。
『構わぬ、私は後から追いかける』
「……Aちゃん…足、痛いの？」
『…少しな(自己治癒能力が高いとはいえ、こうも傷が深くては治りが遅いのう)』
「ん――、ちょっとごめんねぇ」
何か考える素振りをした後、ファイはAに近寄りその背に手を回した。
『なんだ？』
「んしょ」
Aの問いに答えるより先に、ファイはふわりとAの体を横抱きに持ち上げた。
『ファイ!?』
「これならAちゃんも一緒に上に行けるでしょ？それに、足に負担もかからなくなるしね―」
『そうだが…』
「……恩返し。阪神共和国じゃ、オレは君に助けられてばっかりだったから――、今度はオレが君を助ける番」
いつもの作り笑顔とは違って、ファイはふわりと笑んだ。
『……分かった。…ありがとうな、ファイ』
「どういたしまして―」
「おい、さっさと行くぞ」
黒鋼は二人を見て不機嫌そうに言うと、再び前を走り出した。
「黒ぷん機嫌わる―い」
『何だ黒、嫉妬しておるのか？』
ファイに抱かれながら、Aは前を走る黒鋼を見てニヤリと笑んだ。
「するか！//」
『本当に黒は短気で照れ屋だのう』
「ね―」
「うるせ―！」
こうして会話をしながら走っているうちに、三人は最上階へと辿り着いた。
「あれ―？なんだか人いっぱい？」
開いた扉の先には、小狼とさくらと
「三人とも遅い―!!」
黒鋼の額にモコナがゴッと頭突きを食らわす。
「いってぇ！」
「こっちも色々あったんだよ―、ごめんねぇ」
『すまぬな、モコナ』
Aは自分の肩にぴょんと乗ってきたモコナを優しく撫でた。
「……羽根を返せ。それはサクラ姫の
領主を強く見据えて小狼は低い声でそう言った。
「小狼君……」
ボロボロになりながらも自分の羽根を取り戻そうとしてくれる小狼を、さくらは心配そうな表情で見つめていた。
「ま……待て！」
コツコツと近寄ってくる小狼に、領主は怯えたように後退りする。
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作者名：秋姫 | 作成日時：2018年12月17日 12時
