高麗国１８ ページ21
.
「この水、やっぱ痛いねぇ」
「当たったら服も体も溶けちまうみてぇだからな」
『裸になるのは勘弁したいのう。二人は残念がると思うが』
「ざんね――ん」
「誰が残念がるかっ！」
「先程の
それを壊そうとファイが棍を振ると、棍に当たった球体はグニュと形を変えて弾けた。
「!!」
弾けた球体の水がファイに降り注ぐ。
――ｶﾞｯ。
黒鋼は自身が飛び退くと同時に、持っていた棍でファイを横に弾き飛ばした。
そのファイをAが先回りして受け止める。
「黒む――、ひどい――」
ケホケホと咳き込みながら、ファイは中途半端な体勢からAの腕を支えに立ち上がった。
『黒よ、もう少し優しくできぬのか？』
「ああしなきゃ、そいつ今頃溶けてるぞ」
『…確かにな』
ジュウウウゥと溶け落ちた先程の足場を見てAは言った。
「そうなんだけど――、オレとしても、もっと優しく移動させて欲しかったよぅ――。ありがと―、Aちゃん」
『構わぬ』
「俺に礼はねぇのかよ」
「なかなかやる童共だ。これは久しぶりに退屈せずに済みそうだ」
秘妖は再び指を動かし、三人の周りを幾つもの巨大な球体で覆った。
「あ――、あんなに早く動く上に変形されたんじゃたまんないなぁ」
『壊すこともままならぬ』
「けっ、ぶよぶよ膨らんだり縮んだりしやがって」
「ここまで耐えた人間は、童共と過去戦ったことのあるこの
「それって
「そういう名前の娘がおると言っていたな」
過去を懐かしむように秘妖は目を伏せた。
「この国に真に必要なのは、あの愚かな現
秘妖の額に付いた紫色の水晶が鈍く光る。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 38人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：秋姫 | 作成日時：2018年12月17日 12時
