高麗国１３ ページ16
.
「だから、この城は秘術で守られてるんだって。黒みん、せっかちさんだね――」
「うるせ―」
『この門だけではないだろうな』
「うん、他の入り口も全部こんな感じでしょ――そこで」
びしっとファイは人差し指を立てた。
「次元の魔女さんにもらったモノの出番だよ―――」
小狼は胸元から侑子に貰った球体を取り出す。
「なんか、ドロだんごみたいだな。どうやって使うんだよ、それ」
「投げて――！びゅ〜んって！」
ぴょんと小狼に飛びついてモコナが言った。
「「え？」」
黒鋼と小狼が口を揃えて驚いた。
「出来るだけ遠くへ投げて！あのお城に届くくらい!!」
小狼の手に乗ったモコナがどーんと建つ領主の城を指差す。
「ああ!?」
「モコナ、これを遠くへなら……。……………」
「…………。うん、それでも大丈夫！」
モコナと小狼が、なにやら相談をし始めた。
「なんの相談？」
『何をするのか楽しみだな』
怪訝そうな顔をする黒鋼の横で、二人はにこやかに小狼とモコナを見守る。
モコナと話し終えるた小狼は、三人より前に出ると持っていた球体をポ―――ンと身長よりも高く上に投げた。
落ちていく球体の高さの丁度良い位置で、小狼は左足を振り上げる。
足に当たった球体はギュルルルと音を立て、高速回転をしながら城を守る秘術に当たった。
.
.
.
.
.
「中に入ったはいいがいつまで続いてんだよ、この回廊はよ。ずっと歩きっぱなしだぞ」
『同じような場所が続いておって、どこを歩いておるのかも分からなくなるな』
「真面目に歩いてるんだけど、どこにも着かないねぇ。扉もないし」
「黒鋼、疲れたの？だらしな―い」
いつの間にかファイの頭の上に移動したモコナが言った。
「おめぇはずっと頭の上で、歩いてねぇだろ！」
『何を言っておる、黒。モコナはちゃんと歩いておったぞ。気持ちはな――♪』
「な――♪」
そう言ってAとモコナは人差し指と手を合わせて笑う。
「気持ちだけかよっ！」
『…どうした？小狼』
Aは床を見下ろす小狼に気付いて聞いた。
「元の場所に戻ってます」
「ん？」
「確かに似たような場所だが、引き返しちゃいねぇぞ」
「ずっと一本道ではあったよね」
『扉もなかったしな』
「この回廊の入り口近くに落としておいたんです」
床に落ちていた白い楕円形の石を、小狼は手に拾って三人に見せる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 38人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：秋姫 | 作成日時：2018年12月17日 12時
