高麗国１０ ページ13
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「ん、安心して。止めるワケじゃないから――。でもね。あの領主の秘術、結構すごいものみたいだからねぇ」
『ただ行くだけでは無理だろうな。城の入り口に施してある術が邪魔だ』
「せめて、城の入り口にかかってる術だけでも破らないとねぇ」
「おまえら、なんとか出来るのかよ」
『「無理」』
Aとファイはにこやかに口を揃えて即答した。
「って、いかにも策がありそうな顔で言うな!!」
「侑子に聞いてみよう！」
モコナは六人から少し離れた所で額の宝石を光らせた。
パアアァァっと六人の目の前に、黒髪の女の後ろ姿が写し出された。
《あら、モコナ。どうしたの？》
映像の中に写るその人物は振り向いて言った。
日本国で世話になり、Aにとっては腐れ縁でもある次元の魔女 侑子だ。
「しゃべった――！」
「ほんとにモコナは便利だね――」
「便利にも程があるだろ！」
ファイと黒鋼は映像を指差して言った。
《なるほど、その秘術とやらを破って城に入りたいと》
「そうなんです――」
《……でも、あたしに頼まなくてもファイとAは魔法使えるでしょう？》
「あなたに魔力の元、渡しちゃいましたし――」
《あたしが対価として貰ったイレズミは"魔力を抑えるための魔法の元"。あなたの魔力そのものではないわ》
「まあ、でもあれがないと魔法は使わないって決めてるんで」
「私も今のままでは高位の解除魔法は使えぬ」
左肩に掛かる紅髪を手で払い、Aは耳に付けているピアスを見せた。
《そうね、いいわ。城の秘術が破れるモノを送りましょう。ただし、対価をもらうわよ》
「おれに何か渡せるものがあれば……」
「これでどうですか――？魔法具ですけど使わないし」
魔法石の付いた愛用の杖を、ファイは取り出した。
《……いいでしょう。モコナに渡して》
あ――ん、と大きな口を開くモコナ。
そこへファイが杖を入れると、杖はずるずるとモコナの口の中に吸い込まれていく。
目の前の信じられない光景に、春香はうわ〜、うわ〜と涙を流してそれを見ている。
「いいんですか？」
「うん。いいんだ――」
モコナはごっくんっと杖を飲み込むと、めきょっと目を見開く。
その直後、ぽんっとモコナの口から何かが吐き出された。
小狼はパシッとそれを掴む。
「これが、秘術を破るもの……」
掴んでいた手を開き、小狼はその手のひらに乗る球体に目を落とした。
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作者名：秋姫 | 作成日時：2018年12月17日 12時
