高麗国９ ページ12
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「何か――、……あったみたいだね」
怪我をしている小狼と何処と無く暗い三人の表情にファイは言った。
「そっか――、また
「しかし、そこまでやられてなんで今の領主をやっちまわねぇんだ」
「やっつけようとした！何度も、何度も！でも領主には指一本、触れられないんだ！領主が住んでいる城には秘術が施してあって誰も近寄れない！」
春香は悔しそうに眉を寄せた。
「なるほど―、それがモコナの感じた不思議な力か―」
「不思議な力がいっぱいで羽根の波動、良くわからないの」
ファイの言葉にモコナはコクコクと頷く。
「あの息子のほうはどうなの？人質にとっちゃうとかさ――」
ファイはへろっと言ってのけた。
「ファイ、イカス―」
『良い考えだな』
モコナとAはファイの意見に賛同のようだ。
「……おまえ、今さらっと黒いこと言ったな」
「だめだ！秘術で領主は
「昨日とか今日の小狼君みたいに、秘術で攻撃されちゃうか――」
申し訳なさそうに笑む小狼と、その額から出る血を拭き取るさくらを見ながらファイはうーんと唸った。
「一年前、急に強くなったって言ってたね、その領主」
『サクラの羽根に関係があるのかもしれぬな』
「辻褄が合わねぇだろうが。記憶の羽根とやらが飛び散ったのはつい最近の話だろ」
「次元が違うんだから、時間の流れも違うのかも」
「確かめて来ます。その領主の元に羽根があるのか」
小狼はその場からすっと立ち上がった。
「待って！」
それを止めようと、さくらは小狼の袖をぎゅっと握りしめた。
「小狼君、怪我してるのに……」
「平気です」
「でも……」
「大丈夫です。羽根がもしあったら取り戻して来ます」
そう言って小狼はさくらを安心させるように微笑んだ。
「小狼君……」
それでもさくらはどこか心配そうな瞳で小狼を見つめた。
「ちょっと待って――」
不意にファイが言った。
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作者名：秋姫 | 作成日時：2018年12月17日 12時
