阪神共和国４２ ページ2
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――ｼﾞｭｳｳｩ…
お好み焼きの焼ける音。
羽根を取り戻した次の日、小狼達は正義と共に再び"風月"に来ていた。
席に座る順番も前回に来た時と同じだ。
「正義君、ほんとうに有り難うございました」
「僕も……巧断もずっと弱いままだったから」
あ――ん♪
「てめっ、そりゃ俺んだ！」
『黒、大人げないぞ』
もぐもぐ。
「てめぇも俺の食ってんじゃねぇ！」
「だから……だから……！ちゃんと渡せてほんとに良かったです!!」
溢れ出す涙を拭い、正義は言った。
「弱くなんかないです。戦うことだけが強さじゃない。誰かのために一生懸命になれることも立派な強さです」
「有り難うございます！」
正義は再び溢れ出る涙をぐいっと手で拭う。
「よう」
不意に聞き覚えのある男の声が話しかけてきた。
「笙悟さん！」
声のした方を正義が見上げると、そこには仲間達をわらわらと引き連れた笙悟がいた。
「うちのチームの情報網も捨てたもんじゃねぇな。あ、ここちょっと詰めてくれな」
笙悟は正義の横に腰をかける。
「すんませーん、オーダー」
「オレ、とんぺい焼き」
「あ、俺も豚モダン。んで、虎コーラ」
「はーい」
小狼の国で神官様だった眼鏡をかけた店員が、注文をとる。
「ケガとか大丈夫か？」
「はい」
「戦いの途中ですみませんでした」
小狼は律儀に頭を下げた。
「いや、あの状態じゃ仕方ねぇだろ」
めきょっ。
「きゃ――」
『こら、黒、モコナになんてことをするんだ』
「…………」
『…………手に…』
ぐさっ。
「いってぇ―!!てめぇ、ワザと箸で刺しやがったな！」
「それに、あのバトルは完全に俺の負けだ」
笙悟がそう言うと仲間達は賭け事に負けたとブーブー文句を言った。
「いつまで阪神共和国にいるんだ？」
お店を出てすぐ、笙悟が小狼に聞いた。
「もう次の世界……いえ、国に行かなければならないんです」
「そっか」
「てめっ、また俺のに手ぇ出しただろ」
「黒鋼ひどい――！モコナ熱くてめきょってなっちゃったでしょーっ」
「モコナ、Aちゃんが助けなかったらちっぽ鉄板でコゲちゃうとこだったねえ」
『本当に酷いのう、黒は』
「あぁ？俺の手ぇ刺したのはどこのどいつだ」
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作者名：秋姫 | 作成日時：2018年12月17日 12時
