第十一話 ページ13
「……情報収集？ ぼくが？」
ぼくの言葉に頷くペイン。
唐突の呼び出しに加え唐突の指示か。
はぁ、と溜息をつきながら、抗議態勢に入るぼく。
「あのさ、ぼくどちらかと言うと戦闘タイプだよ。 …情報は、確かに集められないことは無いけど、ぼくは現世の忍びの世界を全然知らない。 不向きだと思わないかい？」
「だが、暁で一番敵から警戒されることなく里に侵入できるのは明らかにAさんだと思うんです」
「それはそうだけどさぁ……」
腑に落ちない。
ぼくはムスッと頬を膨らませ、駄々をこねるように嫌だ。 といい続ける。
「やむを得ぬな。 なら、Aさんの名字を皆に知らせるとするか」
ピクッと嫌でも体が反応する。
ぼくは目を吊り上げ、口元を緩ます。
「なんだい、それ。 脅しているつもりかい？」
コォッと冷たい空気がぼくの周りを渦巻く。
ペインは一瞬動揺したが、態勢を立て直し、口を開く。
「知られたくなければ言うとおりに従ってもらいましょうか」
彼の目線に、ぼくはもう一度溜息をつく。
コイツを殺したところでぼくに利益は何も無い。
そもそも、リーダーとして、ぼくに指示しているやつを、無闇に殺すわけにもいかない。
ぼくが非難されるだけだ。
この組織に入ったからには、コイツの指示に従わなければならない。
「…リーダーとしての威厳ってヤツか。 全く…自分より弱いやつに従わなきゃならないなんて、世知辛い世の中になったものだ」
ぼくはマントを揺らし、ペインに背を向ける。
「ぼくにリーダーとしての威厳を見せるなら、ぼくへの敬語をやめるべきだな。 仮にもリーダで、ぼくに指示するなら尚更な」
「分かった、では頼むぞ、A」
「はいよ」
ったく、ほんと面倒くさい世の中だ。
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作者名：しゃぶしゃぶ | 作成日時：2015年8月10日 22時
