第十話 ページ12
換金所までの道のりで色々な賞金首を見つけ、狩っていたが、どれも手応えがなく、軟弱だった。
今の世の忍びは、こんなにも弱いのか。
正直失望した。
平和ボケしたコイツらは、本当の戦いをきっと知らないだろう。
そんなことを思いつつも、もうアジトだ。
金の入った巻物を握り、アジトの奥へと進む。
「戻ったのか、どこに行って……！ その血は…」
イタチは目を丸くし、ぼくの全身を見る。
返り血の処理をし忘れた。 まあどうでもいいことなんだが。
「ぼくは何処も怪我していないから問題ないよ。 それより角都は？」
「俺ならここにいる」
後ろからヌッと現れる角都。
ぼくはその角都に巻物を渡した。
「資金の足しにしてくれ」
その一言で、角都は納得したようにうなずいた。
イタチも、なるほど。 と言ってぼくの顔についている血を拭いながら新しい装束を渡してくる。
「おや、貴女がAさんですか」
突如後ろから声が聞こえた。
聞いたことの無い声。
振り返ればそこには、青い肌の男が居た。
「……何、鮫？」
そう、まさしく鮫の顔なのだ。
ぼくの言葉に、いいえ違います。といいながら、鮫男はぼくに近づく。
「私は鬼鮫、と申します。 以後お見知りおきを」
ああ、つまりは新しいメンバーね、なるほどなるほど。
「ぼくはA。 よろしくね、鬼鮫」
軽く挨拶をし、札束を数え始めている角都の横に座る。
……本当に金が好きだな。
「そうだ、A。 暁は基本、ツーマンセルで活動するんだが」
そう、イタチは切り出し、ぼくの方に視線を送る。
ぼくは、分かってる。 と言って、目を伏せた。
「ゼツと、だろう？ まあ流れ的には当然だろうな」
「そうか、分かっているならそれでいいんだ」
まあ、ぼくの戦闘に関わってこないゼツは、人選的に一番正しいかな。
だってぼく、不死身だし、生きてる人が何処までぼくの動きに耐えられるか、分かったもんじゃないしね。
下手したら勢い余ってパートナーごと殺しちゃう。
そう考えると、戦いに関与しないゼツが、ぼくの相方として相応しい。
ピッタリでしょ。
それにぼく一人で国一つは落とせるしね。
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作者名：しゃぶしゃぶ | 作成日時：2015年8月10日 22時
