教えてよ、俺に。【としみつ】 (ページ5)

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05.私の好きなもの。ページ5

そんなことを言って、時計屋さんに慣れたように入り、これがいいよ。と私のドストライクのものを見つけてきた。

と「どう？」

「すごい良い！」

と「だと思った」

そう言うと、迷わずレジに持っていきお会計をする。

「本当にプレゼントなの？」

と「そうだけど？」

「あ…ありがとう…」

驚いていると、ほれ。と可愛くラッピングされたものを渡してくる。

「としみつが優しいとなんか怖い…」

と「なんで？いつも優しいやん」

「そういうことにしとく」

嬉しい気持ちを照れ隠しするかのように、つい冷たくあしらってしまう私は、としみつよりも子どもだ。

「岡崎帰るまでもう少しだね」

と「うん。早く帰りたい？」

「そうだね。久しぶりに岡崎の空気吸いたいね」

と「寂しい思いさせたな」

「そんなことないよ？ずっととしみつが居たから」

私のそんな素直な言葉に、顔を赤くするとしみつに、少し胸が締め付けられた。

たしかに少しホームシックにもなったが、いつもとしみつが声をかけてくれたり、美味しいものを食べに連れて行ってくれたりした。

としみつが居たから寂しくなかったのは事実で、としみつが一緒にいるのは当たり前だった。

と「東京でいい男居たか？」

「そんな出歩いてないし」

と「そう」

「そっちは？」

と「女捕まえてたらお前にプレゼントなんかしない」

「ふーん」

お互いを大切に思う気持ちは同じはずなのに、どこか他人行儀で、私たちは一体、どうなりたいんだろう。

としみつは、私のこと、どう思っているんだろう。

「あのさぁ…

お互いに相手が出来たら…

もうこうやって歩けないのかな」

と「なん？急に。」

「いや、なんか気になった」

と「うーん」

あまりにも悩むから、私も後に引けなくなる。

「私のこと、どう思ってる？」

と「どうって？」

「ただの幼馴染？」

と「そんな簡単なもんじゃないよ」

「じゃあ何？」

つい口調を荒げて聞いてしまう。
なんだかこのままの空気が嫌で、私はどうしたら良いかわからなくて、でもこの現実を失くすのも嫌で…

そんな思いから、涙が１つこぼれる。

と「ずっとそばに居たいと思ってるよ」

「でも、いつか終わりがくるよね」

と「なんで泣くん？何かあった？終わりなんて来んやん」

「じゃあ終わりがこない関係にしてよ！！！」

そう言うと、としみつは少し俯いた。