06.離れてみても。 ページ6
それからしばらく私たちはお互いを干渉しなくなった。
あの日俯いたとしみつは、私に一言、「ごめん」と告げた。
告白をしたわけではなかったが、としみつの言葉が私にとっては重い石のようにのしかかった。
お互いの家に行くこともあまりなくなった。
岡崎に帰ってからは、撮影の手伝いの間以外はほとんど会わなかった。
虫「A?ちょっと…」
「なに?」
虫「何があったの?」
「何がって?」
虫「としみつと!」
そう口パクで言う虫さんに、「別に。」と言い、その日も撮影後はまっすぐに帰ろうと思っていた。
り「A!ご飯行かん?」
「ご飯?んー、いいよ?」
り「美味しいとこ、見つけたんだ」
そんなイタリア人と、ご飯に行くことにした。
案の定、おしゃれなお店だったけれど、個室に案内されて、緊張もとけた。
り「でさ、A。何があったの?」
「やっぱりそれか。」
り「さすがに気になるでしょ。」
「今日虫さんにも同じ事聞かれたよ」
り「何て答えたの?」
「別に。って」
り「それは酷いなぁ〜Aちゃん」
「としみつからは?」
り「何も聞いてないよ」
そんなりょうくんに、あの日の話をした。
するとりょうくんは、「としみつも素直じゃないからなぁ」なんて言って、「誰かが間に入って解決しても良い?」と聞いた。
「間に入っても解決しないから、やめといたら?」
り「いや、出来れば2人には前みたいに戻ってほしい。俺たちも2人がそんなんだとやりづらいんだよ」
「みんなを巻き込んでるつもりはなかったんだけど…ごめん…」
り「2人は早く幸せになれるといいね」
「どんな結末が幸せなのか、わかんないや」
り「だから、それを俺らが教えてあげるよ」
「魔法使いみたいなこと言うね」
り「成功したら魔法使いって呼んでよ」
そんなりょうくんに、話を聞いてくれたお礼をして、その日は家に帰った。
りょうside
なぜとしみつはAにそんな言い方をしたのだろう。
としみつのことだから、大切なものの守り方がわかっていないんだと思う。
り「おはよ〜」
と「おぅ」
り「としみつ、今日飯行かんか?」
と「いいけど…」
り「撮影後ね〜」
としみつもしばらく元気がないし、Aも落ち込んでいる。
この2人はお互いの大切さに気づいていないようだ。
俺の出番だと思うんだよね〜。
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作者名:tee(てぃー) | 作成日時:2019年9月29日 9時