【鬼灯の冷徹】猛毒少女【白澤】完結 (ページ9)

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09.隔て　鬼灯ページ9

白澤「Aちゃんに着信拒否された」

鬼灯「というか、携帯も固定電話もどこからかけても繋がりません。
解約してしまったようです」

白澤「まだちゃんと謝れてないのに何で？」

鬼灯「元はと言えばお前のせいだろうが!?」

白澤「だってAちゃんすごく可愛かったんだもん」

鬼灯「最初っから距離を置かれていたのに…
お前が迫るからもっと距離を置かれただろうが」

白澤「でも、電話したAちゃんの声は一人にしちゃいけない気がしたんだ」

私が電話をしても繋がらなかったのは、白澤と同時に電話をかけていたからなのか

あの電話が私と繋がっていれば…

そんな事を考えた所であの頃には戻れないが

鬼灯「私はお前が選ばれたとは思わない」

白澤「何の事？」

鬼灯「今Aさんに無理矢理関わろうとしたところで逆効果でしょう。
だったら私はAさんの体質を治す方法を見つけだしてやります」

白澤「じゃぁ、僕はAちゃんの毒に耐えられる体作りをするよ」

鬼灯「今度は助けませんよ？」

白澤「Aちゃんの腕の中で死ねるなら本望だよ」

鬼灯「それがAさんを苦しめていると言うのがなぜお前にはわからないんだ!?」

白澤「それぐらいわかってるよ。
でも大丈夫。僕はAちゃんの毒なんかじゃ絶対に死なないから」

鬼灯「その自信はどこから湧いてくるのか」

白澤「自信なんかないし、僕だって怖いよ？」

鬼灯「ならなぜ？」

白澤「お前に"本当の孤独"なんてわからないだろ？」

鬼灯「私はみなしごで召使だったんです。孤独ぐらいわかりますよ」

白澤「いや。お前はわかっていない。
家族や身内が居ない孤独じゃなくて、もっと別次元の世界にAちゃんは居るんだから。
暗い樹海の中一人引きこもって、人と話をすることもなく毎日を終えるんだ。
自分以外に誰も居ない…ただ他種族の馴れあいを眺めるだけの先の見えない恐怖を」

何かを言い返そうと思ったが言葉が出てこない

確かに、私はそんな経験をした事は無い

人の中に居れば好かれることも嫌われることもあるが

嫌われることもない、完全に"無"と化したAさんの気持ちなど私には理解が出来ない

鬼灯「お前にはわかるのか？」

白澤「無駄に長生きしてないよ。
お前には想像できないような事だってたくさん経験してきたんだから」

Aさんと私の間にはいつも白澤が居る

その事実が悔しくてたまらない
2014.9.9