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26.使い捨て 金魚草 ページ26

昔は小さな存在で、誰にもこの鳴き声は届かなかった

それどころか、誰も私達の存在に気付かず

金魚としてではなく、花としてでもなく

ただの雑草として踏みつぶされてきた

所詮私達はそんな種族

植物にもなれず、動物にもなれない中途半端な存在

でも、ある日鬼灯様に発見され私達の存在価値が変わった

地獄の土は、水は私達の身体にとても合っていた

小さく踏みつぶされるだけだった私達は大きく成長した

人類が進歩したように、私達はまだ成長過程にあって

まだ伸びしろが、可能性があったのだと思うと嬉しかった

鬼灯様にエサを、肥料を与えられ、芸を仕込まれたことから、私達は地獄で名を広めた

大会が開かれるほど、マニアが出るほどにまでなった

生きていていいのだと、他種に認められたのだと思うと誇らしかった

私達の研究が進むにつれて、漢方として使える事、刺身として食べれることが判明された

()られる事は殺されると言う事で、死ぬと言う事で悲しいものだ

しかし、私達の死によって他種が喜ぶ、幸せになる

何よりも、それによって鬼灯様の名がまた地獄で有名となる

恩人である鬼灯様の為なら私達はこの命をかけていこう

だからどんなことをされても構わない

鬼灯「ここにある金魚草を連れて行って下さい。
彼らは動植物で、毒の耐性は一切なく人間と変わりはありません。
金魚草と共同生活をして、金魚草が枯れなくなればガスマスクを外しても大丈夫なはずです」

例え生体実験の代わりに使われたとしても

鬼灯様が私達を必要としているのだから

Aさんは独り言が多かった

私達と会話は出来ていないはずなのに、いつも語りかけていた

仕舞には私達に別々の名前を付けて話をするようになった

頭おかしいんじゃないか?

Aさんの毒により順番に死ぬのを待つだけの私達はAさんが嫌いだった

でも…

A「何を食べても不味いんだ。毒は食べてないのに吐き気がするし…
でも、このまま頑張れば治るんだよね?
ガスマスクも手袋も外していい日が来るんだよね?
そうなったら、皆と一緒にご飯を食べに行きたいかな」

当たり前だと思う事が出来なかったAさんに

一人寂しく生きてきたAさんに愛着が湧いてきた

ずっと一緒に居たいと思えてきたのに

いくら頑張っても私達は先に枯れてしまった

Aさん 悲しまないで下さい

貴方の役に立てて私達は幸せでしたから

でもこの声はAさんには届かない
2014.10.12

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設定タグ:鬼灯の冷徹 , 毒姫 , 白澤   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:辰巳 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/toshi6411/  
作成日時:2014年8月31日 7時

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