検索窓
今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:37,326 hit

12.治療不可 ページ12

A「あ゛〜ぁ゛〜…もぉ〜…」

久しぶりに死ぬ前の夢をみた

ここ何百年と思い出すこともなかったのに

私はあの時死ぬことが出来なかった

屋根が崩れる寸前で小太郎は私を家の外へと放り投げた

どうして一緒に連れて逝ってくれなかったのか?

私が死ぬのが可哀想だったから?

それとも、あそこで私が焼死したら毒が広がるから?

小太郎にとって私も風魔一党も大切だったんだろう

だから選べなかったんだ

だから私を生かしたんだ

でも、その後私は地下に幽閉され、自らの毒に侵されて死んだ

A「有難迷惑だから。いい人面しやがって」

私は誰にも看取られず

埋葬もされず

私の亡骸は今も地下に眠る

A「墓でも作ればこの呪縛から逃れられるかな?」

そう思って、バケツとスコップを手に取り

生前住んでいた風魔の隠れ家へとやって来たが

A「重機が…必要かな?」

山は切り開かれ、そこは集合住宅地となっていた

納骨は諦めよう

庭に穴を掘り、髪の毛を切って埋め

その辺に転がっていた石に名前を書いて置き、毎日線香を灯してみる

1ヶ月ほどしてふと気づく

A「自分の墓参りをする馬鹿がどこにいる?」

ここにいるが。

一人で生きることに慣れていたはずなのに

解約した携帯に残るLINEのメッセージを、着歴を消せずに

毎晩携帯の画面を覗いては

あの頃に戻りたいと

誰かと繋がっていたいと願ってしまう

そんな事を考えていたからあんな夢をみるんだ

もう一度死ぬことが出来たらいいのに

でも、自分の毒に侵されて死ぬのは苦しかったからもう嫌だ

だからと言って、皆に迷惑をかける死に方もできない

ならば、不治の病にかからないかな?

そんなこと思って、治療不可能な感染症を集めて接種してみた

けれども…

A「菌が…私の毒に負けている?」

思えば私は毒の副作用以外に悩まされた事は無かった

死ねない、病めない、完全体

A「何者にも負けない私は最強」

そう思いながらも

A「なんでも殺す私は最低」

この考えはついて回る

誰か私を認めてよ

A「毒にすがる時代が来ればいいのになぁ〜」

そこでひらめく最低最強な私

A「毒に、私にすがればいい。泣きついてこればいいんだ」
2014.9.12
☆回想シーンなのに発言しているのは、一人きりで過ごしたAは独り言が多いからです

13.偽名 鬼灯→←11.啼泣 小太郎



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (29 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
53人がお気に入り
設定タグ:鬼灯の冷徹 , 毒姫 , 白澤   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:辰巳 x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/toshi6411/  
作成日時:2014年8月31日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。