’2 心傷 ページ4
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「ねぇ、お母さん。」
静かな空気に耐えきれなかったのかフェリが口を開く。
その口は真っ白な牙が見え隠れしていて、口元には紅いソースが付いていた。
「にんげんも、私たちと同じようなものを食べているの?」
「...えぇ、そうよ。それがどうかしたの?」
スクレが自分の口元を上品に拭いてそう答える。
「なら、どうして私たちとにんげんは姿が違うの?」
大きな瞳が蝋燭に照らされる。
瞳孔は猫のように細かった。
「フェリ、同じものを食べているからといって私たちと同じ容姿になるとは限らないのよ。」
それより口元のソースを拭きなさい、とそう続ける。
メイドがフェリに近づいてフェリの口元を拭った。
それを見てシヨンは軽く笑う。
「...フェリ、お母さん。
人間のことについて話すのはこれくらいにしてはどうですか。
この後は用事があるのでしょう。」
「えぇ、そうね。」
エメは何かをはぐらかす様にそう言う。
スクレはそれに賛同した。
エメは口調は落ち着いていたが、その顔は少し動揺しているようだった。
そしてその様子を見て、
シヨンとフェリは顔を見合わせてまた不思議そうに見ていた。
・
そしてその後何事も無かったかのように食事は終わり、
シヨンとフェリは子供部屋へと戻っていった。
−書斎−
「お母さん。お父さん。
フェリ達に人間について教えるのは止めて下さい。」
書斎では、エメが睨みつけるようにスクレとファクティスに訴えていた。
緑色の瞳がギラギラと光っている。
「忘れたのですか、祖父母が死んでしまった原因を。」
「「.........。」」
スクレとファクティスは何も言わずに口を噤んでいた。
メイドたちは静かに部屋の隅で立っている。
「...それでも貴方達は人間に忠誠を誓うおつもりなのですね。
家族が、自分たちを産んでくれたものが死んでも。ずっと誓うのですか。」
「あぁ、そうだ。祖父母も人間たちに救ってもらったことがあるのだからな。」
ファクティスがエメと目を合わせてきっぱりとそう言う。
エメはそう言われた途端心底傷付いたような表情をした。
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エメ・ディアブル
aimee・diable
ファクティスとスクレの娘
シヨンとフェリの姉
フェリ・ディアブル
ferri・diable
ファクティスとスクレの娘
シヨンとは双子(姉)
シヨン・ディアブル
shion・diable
ファクティスとスクレの息子
フェリとは双子(弟)
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