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鏡の向こう ページ36

今日も疲れたなーと思いながら、私はお風呂に入るために脱衣する。
ふと、鏡の中の自分と目があった。
よく見ると、疲れが貯まっているような顔だ。

『バカみたいだよね、仲良しごっこなんて』

誰だ、と思い私はきょろきょろと辺りを見回す。
私以外誰もいないはずなのに……?

『あー、アンタ自身もバカだったか。 鏡を見てみなさいよ』

鏡を見ると、私の青い目とは違う赤い目をした自分がニタニタと笑いながらこちらを見ていた。

「誰?」
『誰も何も、私だけど?』

これが、私?
こんな、こんな酷い顔をしていただろうか?

『どうせアンタの事だから、私を否定するんでしょ?
自分の事だもの、手に取るように分かるわ』
「分かっているなら、さっさと消えたらいいじゃない」
『そうもいかないんだよね、だってアンタは自分の本当の姿を知らないといけないんだから』

本当の姿?
今の私が、本当の姿に決まっている。
自分の考えとは裏腹に、脈拍が上がっていく。

『どうしたの? 本当の自分を知るのが怖い?』
「……」
『黙ってちゃわかんないでしょうが、まぁどうでもいいけど』

ケラケラと笑いながら、赤い目を光らせるもう一人の私らしい何か。

『まぁいいや。 さっさと本題に入ろうか』
その言葉を聞くと同時に、私はどんどん不安の渦に飲まれるかのような気持ちになる。

『アンタはね、『絶望』なの。
超高校級の銃士であると同時に、『超高校級の絶望』でもあるの』
『絶望……?』
「そう、絶望の時のアンタは――――」

嫌な予感がして、「やめてよ! 聞きたくなんかない!」と鏡の中の自分もどきに向かって叫ぶ。

だよね、とクスクス笑いながらこちらを見る。

『まぁ、忘れるなよ? 自分の帰るべきところなんて『無い』って事を』
そう言い残して、赤い目をした私もどきは消えた。

さっきの話が嘘か真か、それは出てみなくては分からない。

それよりも、鏡の中の自分がどこか懐かしい気がした。
なんで懐かしく感じたのかは、考えても考えても分からなかった。

パーカー ※台本書き風が苦手な方は注意→←赤い糸



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まゆ - 面白かったです^_^奥が深い話が多いですね^_^すごいです!これからも、頑張って下さい^_^ (2017年8月17日 15時) (レス) id: 5050a4539b (このIDを非表示/違反報告)
鳴神月さんちのトルテさん - ちなみにですが、シュレディンガー〜は狛枝くんです。 (2016年4月14日 12時) (レス) id: 135a05a3e0 (このIDを非表示/違反報告)
鳴神月さんちのトルテさん - 壬埜亜さん» 初めまして、今更になってしまい恐縮です。 他の短編小説にて同じ意見を頂きましたので現在策を講じている最中でございます。 約1年越しの返信なこと、大変申し訳ございません。 (2016年4月12日 5時) (レス) id: a12c22e8d5 (このIDを非表示/違反報告)
壬埜亜(プロフ) - シュレーディンガーの猫、って狛枝ですか?苗木ですか?やっぱり題名の後にちゃんと名前書いたほうがわかりやすいです・・ (2015年2月2日 7時) (レス) id: b49bc34f07 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:トルテ | 作成日時:2014年5月11日 3時

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