貴方の綴れに生命の音を 番外編

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正門side



車を降りると、

そこから見える職員室には明かりが灯っていた。



忘れ物に気づいたのは夜9時過ぎ。



急いで準備して車を走らせて、

なんとかここまでやってきた。



職員玄関から靴を脱いで入る。


静かな校内の真っ暗な廊下は

どこまでも続いている。


先が見えない。



こんな怖いところ、誰が残ってんねん。


怖い先生や無いとええけど。




正門「……ん？」




職員室の扉は開いていた。




正門「大吾？」




そこに居たのは、俺が2年間

想い続けた人だったと、


今ここで打ち明けよう。



俺の、片想いの人だった。



同時にパーン！とEnterキーの音が鳴って



大吾「…正門。」



大吾が振り向いた。



正門「どないした？こんな時間まで。」


大吾「……明日使うパワポ、消してもうた。」


正門「あら。」



そこからはもう、覚えてへん。



目の前の大吾にあがりきって、


どさくさに紛れて……


気づいたら俺は、大吾に、バックハグしてた。



……自分でも気付けなかったが、


俺は抗えない程、ただの男だった。



大吾「……、正門…？」


正門「…ぁ、……あ、ごめん！、

何してんねやろ、笑」


大吾「…ほんまに…笑」



良いのか。


ここまで来たのに、


これが2年経って初めてのチャンスなのに。



職員室の外の闇が、

俺に迫ってくるように感じた。



きっと、飲まれる。



俺たちはこの闇に。




良いのか。



否。



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