貴方の綴れに生命の音を3

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(和也side)



丈くんを送り出してから2時間くらい経って、


時刻は午前10時前。



3人分の洗濯物と

俺と丈くんの枕カバー、

星空の小さな布団まで干し終えると、


またリビングへ戻る。



先程まで集中して

おもちゃで遊んでいた星空は、



ソファの前に敷いたカーペットの上で

うつ伏せの体勢になり眠っていた。



和也「あ〜、かなた。

ねんねしとんとこ、ごめんなぁ？」



もうすぐ家を出る時間。


着替えもしなあかんし、起こさな。



星空「ん、やぁ…っ、…、、」


和也「おん、ねむいなぁ？

すぐやからな、お着替えしよか？」



少し身を捩ってぐずる星空。

でも直ぐに静かになって。



和也「うん、ええ子〜！」



寝起きがええのは

俺に似たみたい。


これ丈くん似やったらもう、手ぇ付けれん。笑



和也「ほな星空、今日はじーこのとこ行くでな？」



オムツにおもちゃに着替え、

保険証とお薬手帳。


持ち物全てをバッグに詰め込み、

手を繋いで2人、家を出た。




・




星空「ぶーぶ、！」


和也「せやな？かっこええなぁ？」



タクシーの後部座席に座り、

窓の外を見る星空。



お腹の赤ちゃんも

俺も俺もと言わんばかりに

ぽこぼこと動く。



はよ見せたげたいなぁ。

来月には会えるからな？




・



康二「大きなったなぁ！」


和也「もうすぐ生まれるもん。」



病院に着いて、

診察室に通されると


じーこは俺のお腹を撫でた。



康二「星空くんも、もうすぐお兄ちゃんや？」


和也「そやで、なぁかなた？」



星空はきゃっきゃと笑って、


じーこはその頭も撫でた。



康二「最近、ヒートは？」


和也「大丈夫、ちゃんと薬で制御できる。」


康二「ん、ほな良かった。」



一昔前まで、

ヒートは病気とか、Ωは気持ち悪いとか、


そんな差別は存在していたけど、



より効果の高い抑制剤の開発や、


性別というもの自体へ、

そこまで人がこだわらなくなったことから


今は本当に僅かになった。


Ωの妊娠は世間一般的に

珍しいことではあっても気味悪いものではなく、


俺が不快を感じたことは無い。




康二「とりあえず、今から出産とか、

ヒートに影響無いとは言えへんから


何かあったらすぐ連絡してや？」



和也「ん〜、わかった！」



きっともう、Ωとかαとか

そんなものは関係なく、


人と人が暮らせる世界になったんや。




これが今の、常識で。



きっとそう。


そうやんな。



・

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