32. ページ33
.
Man side
「美味しい〜」
隣で頬を緩ませ料理に夢中な彼女
先程 あまりにも熱心に料理を眺めるその横顔に惹かれて思わず声をかけた
今は、少し離れた所で座っている
彼女は、なんとも魅力的で面白い
今までに出会った事のないタイプの人間だった
「お連れの方はいいんですか?」
「あ、大丈夫ですよ」
「お話があるみたいで、連れて行かれちゃいました」と微笑む
「海、綺麗ですね」
夜風が髪をなびかせる。美しいその横顔は 物語に出てくる登場人物の様に見えた
「海好きですか?」
そう聞くと 「そうですね」と凛とした声を発する
「海の見える家が、私は好きです」
「ーーーー……」
何だろう この不思議な感じは
包み込むような雰囲気
この人の言葉ひとつに 深みを感じる
その澄んだ瞳の奥に
彼女は普段 何を見つめているのだろう
「どんな人なんですか?」
一緒に来た方は、と聞くとにっこりと笑った
「興味深い人です」
「ほぉ、」
この人に興味深いと思われる人物か
「ほとんど毎日 一緒に時間を過ごしていても、彼の奥底は私には分かりません」
それに、と続ける彼女は とても穏やかな笑みを浮かべていた
「あの人以上に、"相手に嘘をつかせない人"を私は知りません」
「だから 彼の前では"素の私"で、本音で接したいと思わせてくれる、数少ない人なんです」
「………それは 羨ましい」
「あはは ありがとうごさいます」
そうではない。そんな人がいる彼女が羨ましいのではなく
彼女にそこまで思われる"彼"が羨ましいのだ
有無を言わせない 圧倒的な存在
一体、誰なんだ
気になって 仕方がない
思わずﾊﾟｼｯと彼女の手首を掴み 距離を縮める
何者なんだ あなたも、彼も
この人の世界を もっと知りたくなる
問いかけようとした、その時
「はーい そこまで」
掴んでいた手を 掴まれる。顔を上げると細く笑った美形の男が彼女を守るように立っていた
「知りたくなる気持ちは分かるけど、」
すっと彼女を立たせ 引き寄せた。あまりに自然なその仕草に呆気にとられると同時に見入ってしまう
「それ以上はダメだよ」
それだけ言って 歩き出す その姿に戸惑うと彼女は振り返ってぺこりとお辞儀をし、
「お話楽しかったです お会い出来たらまた」
素敵な笑みを浮かべて 彼の隣に並んで歩き出す
その後ろ姿は 二人だけの世界だった
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 136人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柚子の香(プロフ) - キリカさん» いえいえ！頑張ってくださいね！ (2018年8月27日 17時) (
レス) id: 174fdb4db8 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - 柚子の香さん» ありがとうございます。ほんとだ"敦"ですね。すみませんありがとうございます! (2018年8月27日 6時) (レス) id: 0facb3a838 (このIDを非表示/違反報告)
キリカ(プロフ) - 唯我独尊丸さん» わぁ ありがとうございます。うれしいです! (2018年8月27日 6時) (レス) id: 0facb3a838 (このIDを非表示/違反報告)
柚子の香(プロフ) - 凄く面白い！ただ、ひとつだけいいですか？漢字が『淳』では無く『敦』だと思います。なんかすみません。この作品大好きです！更新楽しみにしてますね！ (2018年8月27日 0時) (レス) id: 174fdb4db8 (このIDを非表示/違反報告)
唯我独尊丸(プロフ) - 凄く面白かったです！イッキ読みしちゃいました笑更新頑張って下さい！楽しみにしてます！ (2018年8月26日 23時) (レス) id: 2689cacca6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：キリカ
| 作成日時：2018年8月22日 19時
