12.声なき礼儀(マナー) ページ13
貴)「わたし…道で生活してた」
ｱﾝ)「道ぃ?」
貴)「うん」
道…道って…。
やがて、Aの言わんとしていることにピンと来た。
ｱﾝ)「“ストリートチルドレン”ってことかねぇ?」
貴)「すと…ちる……???」
スープを飲み干して頭にハテナを浮かべるA。
ｱﾝ)「ストリートチルドレン。平たく言えば、お家がないから道端で寝起きしてる子たちのことさ」
貴)「あ それ」←
ｱﾝ)「うんうん。他にはあるかい?」
貴)「ん�・…名前?」
ｱﾝ)「?」
貴)「Aって名前は…本当の名前だけど…“カーター”は…テキトー」
ｱﾝ)「ﾋｯﾋｯﾋ テキトーにしちゃあ良いセンスだよぉ?」
貴)「……もち」←
肯定の意…かねぇ?←
ｱﾝ)「いつから路上暮らしなんだい?」
貴)「3つくらい…」
ｱﾝ)「おや」
Aは見たところ伯爵と同い年くらいだ。
となると…10年ってトコか。
ｱﾝ)「長いねぇ。辛かっただろう?ロンドンは孤児には厳しい町だからねぇ」
貴)「……辛く…なかった気がする…」
ｱﾝ)「? 何でだい?」
貴)「………………そこが…分かんない」
ｱﾝ)「そうかい」
貴)「…ねぇ」
ｱﾝ)「? 何だい?」
Aから質問かい?
貴)「このお店、わたし以外に…子供いる?」
Aの質問に一瞬ドキリとした。
ｱﾝ)「どうしてだい?」
貴)「…いるの?」
質問に質問で返すなってことだねぇ。
ｱﾝ)「いる…と言えばいるし、いないと言えばいない…。
そんなもんさ」
貴)「?」
ｱﾝ)「A、今日は一緒にお店に出ようねぇ?
伯爵がお迎えに来るかも知れないし、いろんな人と会えば、良い刺激になるかもだからねぇ」
貴)「……うん」
素直な返事を返す声は、どことなく呆れている様だった。
ｱﾝ)「そうだA」
貴)「?」
ｱﾝ)「勝手に色んなお部屋へ入っちゃいけないよ?」
貴)「なんで?」
ｱﾝ)「小生のお仕事に関するお部屋は覗いちゃダメ」
貴)「……答えになってない」
そう言って、少しだけムクれる。
ｱﾝ)「とにかくダメだよ?入るときはノックをおし?良いね?」
貴)「…なんでなの?」
ｱﾝ)「それが お客さん(死体)へのマナーだからさ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
