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ミニマリストとは
必要最小限の物だけで生活する人のこと
…らしい
神宮寺先生は俺の部屋を見てそういったけど、言われてみればそうだな
寝具にミニテーブル
一見それしかない
しかし服装には気を遣っているし
クローゼットの中には女性から買ってもらった服が収納されている
テレビはない
食器も、余分な物はない
だから今テーブルに置いてあるマグカップはいつも自分が使っている物だ
「…余計なこと言うんじゃなかった」
自分のものを人に使われるのは気色が悪い
そいつの指紋なんかが残っている感じがして居心地が悪い
しかし
今回は特別だ
マグカップを洗おうとシンクにもっていく
水を出して、スポンジで縁を擦って
神宮寺先生が口付けたんだよな、とか考えて顔を顰める
いや、いや…なに考えてんだ
自分で出したんだろ
寄ってけといったのも、俺だ
「…あっちぃ」
水温ではなく、顔の表面というか、頬が
煩悩ごと流すように洗う
キモイだろ、俺
_
ひと悶着した後、早々に布団を敷く
只今無職であるわけだが
これからの生活はどうしたらよいのだろう
貯金は、無くはない
ただ、もうかなり前だが、入院したことで殆ど持っていかれた
こういう時男だと辛い
「…はあ」
未だに体のだるさは抜けない
関節痛も多少
横になり、スマホを弄る
細工されてるのではないかと疑っていたが、例えそうだったとしても、俺から乱数に関わることは、もう無い
覗かれて困る生活はしていないし、結局のところ乱数にはお見通しだろうし
アイツに隠し事はない
「ああ、そういえば…」
寂雷の言っていたことを思い出し、しばらく悩んだが
理津は思い切って発信ボタンを押した
2コールで出た
「理津さん!!理津さんですよね?!」
大声にスマートフォンを大仰に引き離す
相変わらず声が大きいな
「…うん。なんか、久しぶりだね、一郎君」
「今どこすか!飯食ってるんですか!無事なんでしょうね!!」
「ああ、はいはい…とりあえず落ち着こうね。今は家にいるよ。無事だし、ご飯も食べてる」
宥めるように言うと、電話口で、スーッと息を吸う音が聞こえた
「っはぁーーー…よかった…心配したんですよ、ほんと」
「…ごめん」
「寂雷さんだってめっちゃくちゃ_」
しばらく説教が続いた
いつもからかっているはずの弟みたいな彼が
今日は兄の顔をしていた
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無月 - 2024年から失礼します。1年前にヒプノシスマイクにはまり(遅い)、寂雷先生を好きになったので読んでみましたが、2人の心情表現がリアルすぎて本人に話を聞いて書いた実話かと思ってしまうほどでした。画面も顔もびちょびちょです。ありがとうございました。 (1月11日 10時) (レス) @page42 id: 1dba4fa267 (このIDを非表示/違反報告)
Last(プロフ) - ぴみゃ@ごりらーさん» ありがとうございます。作中では経過時間を長めに取り、主人公と先生の中の深まりをじっくり書くことができました。僕も二人の距離感、書いていてとてもグッときます。改めて、完結までありがとうございました (2019年5月8日 23時) (レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
ぴみゃ@ごりらー(プロフ) - 遅くなりましたが完結おめでとうございます!主人公くんが、凄い好きで、話も深く大好きな作品で、更新が凄く楽しみでした。先生と主人公くんの会話やお互いへの思いにとても癒されました (2019年5月7日 19時) (レス) id: a355684bde (このIDを非表示/違反報告)
Last(プロフ) - 鉄壁炭酸カルシウムさん» 主人公は元々こんなツンデレ属性ではなかったのですがどういうわけかこんな猫系に…。わあ、嬉しいコメントありがとうございます。機会がありましたら今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました (2019年4月28日 22時) (レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
Last(プロフ) - 迷い犬さん» 返信遅くなり申し訳ありません。ありがとうございます。二人がお付き合いした後のお話でしたがなんだかんだ書いていて一番楽しかったです。最後までありがとうございました (2019年4月28日 22時) (レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Last | 作成日時:2019年3月31日 0時