小市民とアルファ ページ29
結果で言うと、俺はゲテモノ料理はいける方だった。
よくよく考えればイナゴの佃煮だって3匹目からは何も考えないで食べられてたし。
見た目がアレでも味さえよければ俺は順応できるらしい。
そして入間さんはダメな人だった。
「うぐッ……」
顔を青白くしながら真夏日の如く汗をかいている。脂汗。
それでも理鶯さんを悲しませまいと顎をガクガクさせながら黒い虫っぽいなにかを口に運ぶ様はいっそ健気だ。
碧棺左馬刻はというと、満身創痍ながらむんずと立っている。
立って食べてる。
ここはいつから立ち食い鍋屋になったんだ。
『銃兎さん、大丈夫ですか?』
話しかけ辛かったのは顔を合わせてからで、今はむしろ心配しかない。呼ばれる予定の救急車が1台に減ったのは良いことだけど。
入間さんは目をチカチカさせながら全く笑えていない顔で(むしろ般若の形相を浮かべて)頷いた。
「うぷっ……だ、だだ大丈夫です。こんなところで、格好悪いところは見せられませんから」
『え?』
誰に?と聞く前に碧棺左馬刻が今にも後ろに倒れそうな顔で凶悪に笑った。
「おいおイ銃兎、自白剤でも混ぜられたんじゃねエのか?」
「うるせぇ左馬刻ィ…ッ!!ただでさえ嫌われてんのにここで倒れたらさらに__ッ!?」
入間さんが俺の顔を凝視する。
その顔があんまり間抜けっぽくて幼く見えて
俺は爆笑した。
だっていつもあんなに理知的でクールで物静かな人が、こんなに必死になってゲテモノ料理食べてるとか!!スーツで森の中とか!!!面白すぎる。
今気づいたけどクソ高そうなスーツなのにひっつきむしついてんだよ?笑う。
「___」
入間さんの双眸が見開かれる。
笑いに笑った俺はそして青ざめる。
やべえ……笑ってしまった。
いやいや笑うこと自体は自然の摂理というか人類の神秘というか仕方ないことだよでも!!!
これでプライドがズタズタになった入間さんにズタズタにされたらどうしよう……!!?
土下座か?土下座なのか?
同じ数のひっつきむしつけたら許してもらえる??
「Aッ…!!わらッ……!!?」
よくも笑いやがったなこの野郎って言ってる!!!どうしようどうしよう!?
これはもしや終了のお知らせでは?
と思ったのも束の間
ぎゅうううううっと俺は抱きしめられて
その拍子にクソ高そうなスーツに鍋のスープを少しだけ引っかけてしまった。
「A、愛していま『うわあああああごめんなさい!!!!!』
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Last(プロフ) - 抹茶タピオカ2号さん» 抹茶タピオカ2号様、ありがとうございます!今後の励みになります! (2021年4月4日 12時) (レス) id: 359977b810 (このIDを非表示/違反報告)
Last(プロフ) - どぽぽさん» どぽぽ様、ありがとうございます!読んでいただけてとても嬉しいです。 (2021年4月4日 12時) (レス) id: 359977b810 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶タピオカ2号 - ヤバいですねもう最高です。神ですか?神なんですか?もう最高過ぎます。口のニヤニヤどうにかしてくれませんかねッッ?!?!(((殴とても面白かったです!完結おめでとうございます!!神作品ありがとうございました!!!!! (2021年3月15日 0時) (レス) id: 055f35baff (このIDを非表示/違反報告)
どぽぽ(プロフ) - はぁ、好きです。好きすぎてしんどいです。夢主くんと入間さんの関係性が凄くタイプです。読んでいる間ずっとニヤニヤ口角が緩みました笑もっと早くこの小説と出会いたかったです。過去の自分を強く呪ってます…。素敵な小説ありがとうございます!! (2021年3月4日 14時) (レス) id: 7f61df18d8 (このIDを非表示/違反報告)
Last(プロフ) - てる。さん» わーい、ありがとうございます。 (2021年2月10日 18時) (レス) id: 359977b810 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Last | 作成日時:2020年3月20日 22時