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居心地の悪い無言に俺は耐え切れず、立ち止まった
Aさんが数歩先を行って立ち止まる

ブクロに帰ってきた
けど、胸のモヤモヤは抜けない



「Aさん、左馬刻と知り合いなんすか」
「見てわからなかったか?」



低い声は抑揚がなく
取り繕うような様子もない



「勘繰るなよ」



ただ、不愉快そうな目だけは、鋭く俺を見ていた

俺は口をぎゅっと引き結ぶ
Aさんは俺に近づいて、俺の胸に人差し指をとん、と刺した



「左馬刻にも言ったが、俺が誰とつるもうが、関係ねえんだよ。もちろん、お前にも」



頭がかっと熱くなって、すぐに冷める
みっともなく、泣きそうな気分だ

Aさんは背を向けて数歩先を行く



「Aさん」



首だけかたむけたAさんが俺の言葉の先を待つ




「Aさんは、俺のこと、好きっすか」




モヤモヤを吐き出すように
今まで怖くて聞けなかったこと
誤魔化すみたいに、惚れましたか?なんて聞いていた

そのたびに
馬鹿言うな。んなわけねえだろ。と、否定されてきた


嫌われなきゃいい
時間かけりゃいい
そうやって騙してきたんだ

今日もまた、曖昧に笑われて終わり?




「……わかんねえよ」




小さな声が耳に届いた




「わかんねえ」




正しく好きな人の声

困惑した声

それは好きとは違う


けど、それって、ちょっとは意識してくれてるってことか?
好きが何なのかわかんねえから
自覚してないだけ?




「俺はAさんのことが好きっす!!大好きっす!!」




自分でもびっくりする大声
わかってほしい
俺はあんたのことが好きだって




「……そうかよ」




振り返ったAさんは、心なしか
嬉しそうに笑っていた



「……ッ」



俺は耐え切れずに数歩分の距離を埋めて
Aさんに抱き着いた
Aさんは咄嗟に俺の背中に腕を回した

これが好意だったらよかったのに




「Aさんが誰とつるもうが俺には関係ねえけど、俺はAさんが好きだ」

「薄利多売……ってわけでもねえか。不思議だな」




俺が顔を上げると、すぐ近くにAさんの顔があった




「もっと簡単だと思ってた。そのくせ意味不明なのに、俺が押し負けるとか…ありえねえわ」




俺には、頭よさそうなAさんの言葉の意味がよくわからなかった

けど

俺に何度でも好きって思わせる

その笑顔だけは__

21:Game over...?→←19



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Last(プロフ) - ショコラさん» 残り数話ですが頑張って更新再開します。お待たせして申し訳ございませんでした…! (2019年12月11日 23時) (レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
Last(プロフ) - 遥翔さん» 長らくお待たせしてしまい申し訳ございません。ぼちぼち更新を考えております。ありがとうございます…! (2019年12月11日 23時) (レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ(プロフ) - 完結出来るその日まで、待ち続けます!ゆっくり休んでください (2019年10月19日 12時) (レス) id: 66813c167e (このIDを非表示/違反報告)
遥翔 - ずっと気長に待っているので安心して休んでください! (2019年10月18日 23時) (レス) id: fbd4c1da15 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Last | 作成日時:2019年9月7日 23時

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