【ヒプマイ】 シークレット・バース 【男主】

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キスしたのも
一緒に居たいと言ったのも
恋人だと言ってくれたのも

全部

嘘だったんですか？
＿


「この間は入間君と飲みに行ったのだったね。楽しめたかい」
「はい」


短い返事
心此処に在らず、という感じ

…聞きたくもないことを聞いたものだ


「私も飲めればよかったのだけれど」
「そうですね…」


気に食わない


「…そういえば！銃兎が寂雷さんによろしく、と言っていました。仲直りできたのは寂雷さんのお陰です」
「そう」


無理に明るく振舞っているのか
それにしても



「そういや…はは、銃兎の奴、酔っぱらって途中から」
「月貴君」



銃兎銃兎と、気に食わない



「その話は、まだ続きそうかい？」



蚊の鳴くような、え、という呟き

その表情が
銃兎と呼ぶ口が



「…すみません」



なぜ謝る
そんなに入間君が気になるか

どうして彼に拘るのかも
苛立っているのかもわからない

ダムが決壊するように、言葉が溢れる
気付かなかった


「そんなに」


彼にとって私が、どんな存在だったのかも
力任せに振った言葉が、どれほど強い力を持っているのかも




「そんなに入間君が良いなら、彼の元へ行ったらどうだい」




目を見開く彼
開いた口



「は」



繕う事はできない
それでも、謝罪の言葉を言おうとし、遮られる



「なんですか、それ」
「…ごめん」
「なんですか、俺のこと、何とも思ってないくせに」
「は？」



唐突に話が見えなくなった
が、


「銃兎に聞きました」
「何を」


嫌な予感がする
そして、予感は的中する



「寂雷さんにとって俺は、友人なんですよね」



心臓を鷲掴みにされたような嫌な音



「月貴君、違うんだ」



嫌な汗



「いいんですよ、わかってます。先生には立場がありますから…男と付き合ってるなんて、そりゃ、言えませんよね」



声が震えていた
泣きそうな声
今になり、自分のしたことの残酷さを思い知る

自暴自棄の言葉は、今にも弾けそうな感情を抑制するためか



「月貴君、聞いて」
「何を？…もうやめてください」



目をぐっと閉じる彼



「…そうじゃないんだ」



消え入りそうに呟くと、彼が目を開く

怒りに震え
悲しそうに、哀しそうに




「そんなに否定するなら…好きって言ってくださいよッ！！」




気が付けば、彼は顔を歪めていた
驚いて目を見開くと、彼はハッとし顔を背ける



「…ごめんなさい、俺」



その場を去る彼が
最後に、囁くように零した



「俺、寂雷さんのことが＿」

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