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温かい笑み
病院でカウンセリングを受けている時のような
俺はこの笑顔に何度も救われて
だから
好きになったんだ
「そっちの君の方が良いよ」
「え」
先生は
子犬にするみたいに
俺の頬を両手で撫でた
大きいのに意外と柔らかい感触
何を言われるのかと怯えていただけに、少し拍子抜け
「君は一二三君達と話している時と、私と話している時では、少し壁があるから」
「そ、そうですか？」
「そうだよ。私は君に嫌われているものだと思っていたのだけれど」
「そんなことは…！！」
頭の上に先生が顎を乗＿近い近い近い！！！
それは、もう
先生とこんなにお近づきになれるなんて嬉しい
けど
また
キスをされるのではないかと身構えてしまった
これがちゃんとした『恋人』ならよかったのに
先生にその気はないんだ
少し腹が立つ
思わせぶりな態度をとらないでくれ
付き合っている
ではなく
付き合ってもらっている
のだから
惨めな気持ちになってくる
それでも、ああ
先生の匂い
好きな人の匂い
「六月君」
「はい」
「今度、私に料理を教えてくれないかな」
「え、料理ですか…」
「君は上手そうだから」
気恥ずかしそうな笑みも
一挙一動に緊張してしまうのも
いっそ無関心でいられたなら
あの日秘密を上手く誤魔化していたなら
無駄に舞い上がって
傷つかなくて済んだのになあ
「俺でよければ、喜んで」
こんな後悔をするのは
今日で2度目
＿
「ツナパンとクロワッサンとか、あいっかわらずバランスわりぃな」
仕事の昼休み中
もはや懐かしい顔
「…一二三」
やっとシフトが合って
嬉しくもあり
気まずくもあった
しかし一二三は大して気にしていないように見える
それも少々問題だが
「いいだろ別に。ツナパンとクロワッサンなめんなよ。ていうか、俺が何食べようと関係ないだろ」
俺は案外陰湿な奴で
したくもない冷たい態度をとってしまう
中学生かよ
距離感わからなくて
どうしたらいいのかわからないのも事実だけど
「…ほい」
「…なんだよ」
一二三がぶっきらぼうに差し出してきたのは
両手くらいの大きさの包み
「弁当！！こないだは、俺っちもすっこぉーーーしだけ反省してるっつーか…」
ああ
なんだよ
案外こいつも
俺のこと、気にかけてくれるやつだったらしい
「…別に怒ってない、けど…ありがと」
先生のお陰で昨日食べなかったツナパンを置き
俺は一二三の弁当を受け取った
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Last(プロフ) - いおさん» ありがとうございます。詩的な表現に気を遣っていたのですが、そう言っていただけてとてもうれしいです。完結までよろしくお願いします。 (2019年6月1日 21時) (
レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - 素晴らしすぎる作品ですね…!続きが気になり過ぎて堪らないです!!文章も綺麗で、何から何まで素敵な作品です…!!これからも頑張ってください…!! (2019年5月28日 23時) (レス) id: 1d7aa46e15 (このIDを非表示/違反報告)
Last(プロフ) - 彩華さん» ありがとうございます。お話も割と終盤ですが今後も楽しんでいただけるよう頑張ります。 (2019年5月26日 15時) (レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
彩華(プロフ) - しんどい…好き…めっちゃ心抉られるくらいキュンときます…俺的にはどストライクすぎます。作者さん好きです（） (2019年5月25日 0時) (レス) id: 3d53cc1cd6 (このIDを非表示/違反報告)
Last(プロフ) - 腐女神さん» ありがとうございます。完結まであとわずかですが今後とも気長に待っていただけると幸いです。 (2019年5月19日 2時) (レス) id: ec5508f4a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Last | 作成日時：2019年4月27日 1時
