ただ、あまい 【 るぅと 】

＃３０ ページ31

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" おまえがいい "


ってなんなの。


その台詞が頭から離れなくて
ずっと頭の中を駆け巡ってる。



「 ねぇ！せんぱいってば！！僕と二人きりなのにほかのこと考えないでよぉ 」


『 あっ、ごめんね。… んっ、どうしたの、そのピン 』


彼にブンブンと腕を振られて 顔を見れば
前髪に赤いピン留めが付いていた。

おでこがちょこっと見えてるの、可愛い


「 前髪伸びてきて邪魔だったから莉犬にピン留め借りたの 」


彼の言う莉犬とは 赤犬莉久くん

私たちと同じ軽音部でドラム担当

ちっこくてかわいいのだ。


『 りーぬくん最近部活来れてないよね。大丈夫かな 』


「 文化祭実行委員で忙しいんだって。朝早く来て朝練してるみたい 」


私たちバンドメンバーは 計7人で活動している。

残る2人は

ギター担当 七森瑛斗(えいと) 先輩
こちらも同じくギター担当 橙山しえる 先輩


『 ソロ決めた？るぅとくんの楽しみにしてるんだぁ 』


「 いまは内緒。…がんばって練習してる 」


ボーカル担当の彼

ソロではいつも弾き語りを披露してくれる。

舞台袖でうっとりするのが私の役目


『 衣装も決まったし、早く合わせしたいね 』


「 先輩のあの衣装、みんなに見せたくない 」


ぷぅって頬を膨らませていじけた表情をとる。

可愛い〜って頭を撫でれば 年下扱いしないで と手をはねのけられる。


「 だって、あの衣装ウエディングドレスっぽくないですか？…そんなのみんなに見せたくない〜！！」


純白のドレスは確かに ウエディングドレスのように見えるかもしれない。

一生に一度は着てみたい、あこがれの衣装


「 ウエディングドレス姿のせんぱいは僕だけのものです！！ 」


『 ちょ、やめてよぉ、』


なんだか恥ずかしい


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