パンドラの過去 ページ8
家の中はどこにも明かりがついてないらしい、薄暗く視界は見え辛い。誰の気配もしない部屋、本当に誰もいないのか。将又LINK VRAINSにログインしているのか…。Aは手を握る。
｢二手だね。遊作、どっちから入る？｣
｢…立ち位置的にもAは右から、俺は左から調べるのが妥当だ｣
｢わかった…何があるかわかんないし一応。気をつけてね｣
｢あぁ、お前もな｣
一番手前部屋へと足を踏み入れる遊作の背を見届け、Aも自身の右にある部屋のドアを開ける。どうやら書斎部屋らしい。本棚とソファーしかない部屋。しかし、さすがお医者様。部屋の数も多ければ中も広い。ぱっと見…10畳はあるか。Aは腰にあるミニサイズの懐中電灯を棚に当て、何か一つでも気になるのが無いかと調べる。タイトルを流し見するも、全て医学書で目ぼしいものは見当たらない。
…だが、一つ。医学書ではあるものの、他より遥かにボロくなっている表紙の本を見つける。一見何の変哲もない本、しかしAは何故だかそれがとても気になって、吸い取られるように本を手にした。
中を開き、ページを確認する。書かれている内容はAには到底理解できないような文字の羅列。日本語なのに日本語ではない、言葉。DNA、再生医療、細胞核。書いてある文字はわかるものの、何のことだかはさっぱり。Aはどうしてこの本を手に取ったのか、自分で疑問を感じながらその本を閉じようとした、時だった。
ひらり、本のページに挟まれていた何かが落ちる。
もしかして栞だろうか、読んだところまで挟んでいたなら悪いことをした。床に落ちたそれを開いあげ、軽く手で埃を払う。それは、どうやら写真のようだ。Aが裏側を向いた写真を確認するために表へと裏向けた。
｢なっ…！ど、どうして…何で…っ！？｣
何の変哲もない写真。だけど衝撃的だったそれにAは思わずその場で口元を抑える。混乱気味のAの頭にはどうして、何で、という言葉しか思い浮かばない。震える手で、写真に懐中電灯を当てる。裏面には何も書かれていない、しかし表側、写真の外の白枠。そこには日付と、何か文字が記されている。年号日付は凡そ、十二年前。書かれた文字は…。
｢…A、誕生日おめでとう｣
震えた声で呟くA。写真の中には滝響子とドクターゲノムらしき男性、そしてその二人が真ん中に囲む少女。くまのぬいぐるみをしっかりと抱きしめたあどけない姿、
それは正しく、幼い彼女自身だった。
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遊真 - これから主人公がどうなっていくのかが凄く気になります！これからも頑張ってください！ (2019年8月14日 16時) (
レス) id: 70b9e10207 (このIDを非表示/違反報告)
リナ - しゅりんぷさんの作品、早く読みたいです！ (2019年8月6日 23時) (レス) id: cfdd277789 (このIDを非表示/違反報告)
篝月(プロフ) - 初めから読んだので、続きが凄く気になります！ (2019年5月24日 23時) (レス) id: 7982b0814b (このIDを非表示/違反報告)
しゅりんぷ(プロフ) - 白哉さん» コメントありがとうございます。ソウルバーナーいいですよね。いつか二人も出せるようにしたいなとは思っております。それまでどうかこの小説とお付き合い願えたら嬉しいです。 (2019年4月1日 1時) (レス) id: a80e55b6ef (このIDを非表示/違反報告)
白哉 - できたら穂村尊とフレイム(ソウルバーナー)を出してほしいです。 (2019年1月20日 17時) (レス) id: 8418d83dca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゅりんぷ | 作成日時：2017年12月13日 0時
