検索窓
今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:27,294 hit

悪夢という名の天国 ページ30

時間は待ってくれない、時は無情にも過ぎていく。たとえ何があろうと、それは一刻と過ぎていく。

ファウストとの対決以来、Aは妙に嫌な夢を見る。

嫌な夢、それは今の自分にとっての嫌な夢。つまり、過去にとっての自分には物凄くいい夢。Aは目を瞑り、浮くような感覚に身を委ねる。意識は真っ白に。


そして、場面はとある場所に。


ここは一研究室。どこにあるかも分からない、だけどここが自分の昔の居場所だということを、夢の中のAは覚えていた。幼い姿の少女がクマのぬいぐるみを抱き抱えたまま歩き出す。

「響子おばさ〜ん!どこ〜?」

「おばさんじゃなくて、お姉さんでしょ!」

「あ、あ〜っ!!こめかみ!!こめかみがっ!!」

白い部屋。グリグリとこめかみを拳で刺激され、Aが痛みに声を上げる。そんな様子を見兼ねたように、白衣を着た男が声をかけた。Aがそんな彼を見つけ、走って飛びつく。

「麻生おじさま!」

「相変わらず元気だな、A。今日の検査は受けたか?」

「今日も苦手な採血頑張ったのよ?それなのにおばさんったら、私を虐めるの!」

「あんたが、おばさんって呼ぶからでしょ!!」

「仕方ないさ。Aのような年の子から見れば、18でもおばさんだ」

「麻生さん!!」

麻生と呼ばれた男が、クスクスと笑うAの頭を撫でる。そんなAを愛おしそうに見つめる滝。Aがクマのぬいぐるみを抱きしめて、彼女の手を握った。Aは父の研究チームの部下だった滝を存外気に入っていた。いつも彼女に優しい滝。歳もここにいる他の人たちよりも近く、女心をわかってくれている。そんなAにとある少年が近づく。

「A」

「あら、今日はお父様とは一緒じゃないの?」

「父さんは仕事だよ、今日は僕一人」

「ーーはAのことが大好きね。博士に一人でも会いに行くってワガママ言ったんでしょ?」

「ち、違う!!別にワガママじゃなくて…!!」

白いその場所、笑い声の絶えないその場所が居場所を失くしたAの宝物だった。

・→←魔術師と彼と私



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (49 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
66人がお気に入り
設定タグ:遊戯王 , 遊戯王VRAINS , 藤木遊作   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

遊真 - これから主人公がどうなっていくのかが凄く気になります!これからも頑張ってください! (2019年8月14日 16時) (レス) id: 70b9e10207 (このIDを非表示/違反報告)
リナ - しゅりんぷさんの作品、早く読みたいです! (2019年8月6日 23時) (レス) id: cfdd277789 (このIDを非表示/違反報告)
篝月(プロフ) - 初めから読んだので、続きが凄く気になります! (2019年5月24日 23時) (レス) id: 7982b0814b (このIDを非表示/違反報告)
しゅりんぷ(プロフ) - 白哉さん» コメントありがとうございます。ソウルバーナーいいですよね。いつか二人も出せるようにしたいなとは思っております。それまでどうかこの小説とお付き合い願えたら嬉しいです。 (2019年4月1日 1時) (レス) id: a80e55b6ef (このIDを非表示/違反報告)
白哉 - できたら穂村尊とフレイム(ソウルバーナー)を出してほしいです。 (2019年1月20日 17時) (レス) id: 8418d83dca (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:しゅりんぷ | 作成日時:2017年12月13日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。