Love Story &yuta2 (ページ32)

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哀しいkiss 15 ページ32

「太輔…！」

そう名前を呼んで、肩を支えたのは横尾さんだった

渉「落ち着け、太輔」

真っ青な顔と、真っ赤に充血した眼

渉「落ち着け…」

浅黒い手の甲と指が、太輔の顔を覆う

もしかして、泣き顔を隠してんの？

太「渉…」

渉「少し横になった方がいい…」

渉「ほら…」

渉に支えられて、楽屋の隅にあるソファに
横たわった太輔

渉「疲れてんだよ…」

太「……ちが、」

起き上がろうとする太輔を渉が諭す

渉「…太輔…少し寝た方がいい…」

太「渉…ッ……」

泣き声みたいな、小さなくぐもった声が聞こえる

渉「…分かってる…分かってるよ、太輔…」

ソファの隣のパイプ椅子にかけた渉は
顔を手で覆ったまま嗚咽してる太輔の肩を摩ってる

渉「お前の気持ちは全部…全部、分かってる…」

渉「…そうだよな、お前は…今も…」

.

.

.

太輔が
これほどまで傷心してるなんて知らなかった

Aと別れて半年
もう、Aとのことなんて忘れたと思ってた

確かに、前と同じじゃなかったけど
それは、仕事が忙しいせいだと思ってた

だから、もう…平気なんだと思ってた

でも…違った

.

.

太輔は…

全然忘れてないAのことを…

Aへの気持ちも変わってない

今もまだ、彼女の事が好きなんだ

彼女と別れた事をずっと…後悔してる

全ては…俺のせいだ

.

.

静かに寝息を立て始めた太輔

顔を覆っていた指を、渉がそっと剥がして
胸元に置き、頬に光る涙を拭いた

渉「やっぱり…ダメだな…」

裕「？」

渉「彼女がいないとダメだ…」

渉「…彼女じゃないとダメなんだ」

渉「太輔は…限界だ…」

渉「このままじゃ…
太輔が、太輔でいられなくなるのは…」

太「時間の問題だ…」